最近呑んだ吟醸酒について
   
      

2001年4−6月分                     

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  これからの話は消費者(飲み手)という立場で書いていきます。評論家や蔵元、酒屋の立場では見ていません。お金を払って買い求めた物について書きます。また、音楽とか味覚とかいう物は大変抽象的で表現が難しいのですが、平易に書きたいと思います。 よく、食べ物店の紹介記事で絶賛している物を食べると、首を傾げたくなる時が多々ありますし、テレビでリポーターが口に入れたとたん「うまい」と発言しているウソ等はここでは、しないように心がけています。
 

   ◆月に一度の例会とイレギラーで飲んだ吟醸酒について、ズバリ、どういう酒か皆様への判断基準を書きます。 
 A;味、B;香り、C;コストパフォーマンス、D;総合評価を、各5点評価(5;最上 4;良 3;まあまあ 2;まだまだ 1;評価外)で表します。 総合評価3−(マイナス)以下ではもう一度買うかと言えば、考えてしまうレベル。2ではタダで贈られても困ってしまうレベル。 
 私の独断と偏見なしで評価し、E;寸評も入れます。なお、会での評価も、判断基準の参考にしています。また、評価はこの日に飲んだ吟醸酒の味で、次回も酒の性格上、ロットや時間が変れば同じとは言切れませんが、傾向としては、間違ってはいないと思います。


2001年6月23日(土)

 

 

1.会津錦(福島県高郷村)  純米大吟醸 「会津錦」 平成13年全国新酒鑑評会入賞酒
原料米;五百万石 精米歩合;50%   【アルコール分】15−16度  【日本酒度】+5 【酸度】1.2  【使用酵母】ゆめ酵母  720ml  @2,000(税別)
 A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+
E寸評;ミルク様な香り、口中では米の甘みと品のいい旨みがバランスしている。純米独特の切れのなさと香りの弱さが見受けられる。

 

 

 

2.勇駒酒造(秋田県増田町)  大吟醸 「天品」 前年度全国新酒鑑評会入賞蔵
原料米;山田錦50%美山錦50% 精米歩合;40%   【アルコール分】17−18度  【日本酒度】+5 【酸度】1.4  【使用酵母】秋田流花酵母  720ml  @1,940(税別)
 A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評;標準的な吟醸酒。個性もなければ、味わいも薄い。どこにでも有るような吟醸酒で、呑み手を振り向かすだけの力はない。

 

 

 

3.武蔵鶴酒造(埼玉県小川町)  大吟醸 「武蔵鶴」 平成13年全国新酒鑑評会金賞酒
原料米;五百万石 精米歩合;50%   【アルコール分】15−16度  【日本酒度】+5 【酸度】1.2  【使用酵母】ゆめ酵母  720ml  @2,040(税別)
 A;味3+、B;香り3+、C;コストパフォーマンス3+、D;総合評価3+
E寸評;大吟醸とうたうほどではない。味も平坦サラリ、香りも今一。ごく普通の吟醸酒で感動も魅力もない。ただ、サラサラしているだけ。

 

 

 

 

4.加茂福酒造(島根県石見町)  純米無濾過熟成生原酒 「石見 悪の代官(わるのだいかん)」 
原料米;神の舞 精米歩合;60%   【アルコール分】18〜19度  1.8Ll  @2,700(税別)
 A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4+
E寸評;このタイプは初めてお付き合いするので、なんて言ったら良いのか、正直とまどっています。古酒の範疇に入り、ひね香が熟成香の中に埋もれて、見事にバランスした濃厚な古酒になっています。アルコール度数が高いのを忘れて、お付き合いが深くなっていきます。非常に個性的な熟女です。決して厚化粧ではないのですが、人の良さと個性がブンブン伝わってきます。

 

 

5.若駒酒造場(富山県井波町)  純米吟醸無濾過生原酒 「弥久(びきゅう)」 
原料米;− 精米歩合;−%   【アルコール分】19〜20度  1.8L  @2,600(税別)
 A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4+
E寸評;後で純米酒と気付くほど香り立ちが良く、喉ごしの切れがあります。アルコール度数が高いので、そう感じさせるのでしょう。これも新酒ではなく、濃厚で深みのある古酒の部類に入るでしょう。

 

 

 

6.清水酒造(埼玉県騎西町)  純米酒 「亀甲 花菱」 無濾過 中取り 生酒
原料米;− 精米歩合;−%   【アルコール分】17.9度  【日本酒度】+5 【酸度】 2.0  1.8L  @2,500(税別)
 A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評;米のふくいくとした旨みと味わい、吟醸酒に負けない味わいと品格。雑味もなく骨太な安心してお付き合いが出来る、久々の美女。何と、価格帯を見ると今回一番安いランクにある酒であった。”掃き溜めに鶴”は失礼な言い方かも知れないが、鶴は鶴であった。米の成分表示が成されていないところを見ると、何かのブレンド酒であろう。何かとは吟醸酒が大部分ではないかと思われる。会でも売れっ子娘で、私の元に返ってくるのは時間が掛かる。その上、直ぐに隣に行ってしまう。

 


2001年6月11日

 

 

1.豊盃醸造所(青森県弘前市)  純米吟醸酒 「豊盃(ほうはい)」
原料米;豊盃 精米歩合;55% (自家精米)  【アルコール分】15−16度  【日本酒度】+3 【酸度】1.7  【使用酵母】協会9号  1.8L  @2,743(税別)
 A;味5、B;香り4+、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価(限りなく5に近い)4+
E寸評;純米酒だと信じられないぐらい、品の良い香りが立ち上がり、腰の据わった味わいとぬくもりを感じる。豊盃という酒米で造られているが、初めて呑む豊盃の質の高さに驚く。五味のバランスが素晴らしい。また、戻り香も見逃すことが出来ない。

 

 

 

2.豊盃醸造所(青森県弘前市)  純米吟醸酒 「豊盃 山田錦」
原料米;山田錦 精米歩合;55% (自家精米)  【アルコール分】15−16度  【日本酒度】+3 【酸度】1.7  【使用酵母】協会9号 1.8L  @3,000(税別)
 A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評;友人から勧められた吟醸酒。勧めてくれた友人の味わいの高さに敬服と感謝をする。YK35ならぬYK55であるが、なんら35%に負けない。この酒はYK35に肉付けしたような、木製のピノキオが魂を入れられ人間の子供になった様に、人のぬくもりを感じる。山田錦がこんなにも、優しく素直に人の心を温めてくれるとは思わなかった。今宵はこの美女を抱きつつ桃源郷に遊ぶことにしよう。

 

3.桜顔酒造(盛岡市)  純米酒 「北国の恋人」
原料米;− 精米歩合;−%   【アルコール分】8〜9度  500ml  @お土産
 A;味3−、B;香り2、C;コストパフォーマンスお土産、D;総合評価2
E寸評;綺麗なブルーの洒落た瓶に入り、お土産には誠に体裁のいいパッケージに包まれた酒。中身は梅酒を薄めた様な梅の味わい、梅酒の酸味と甘み、1年以上寝かせた古酒の味。日本酒ではなく梅酒そのもの。本当に混ぜものの無い純米酒?

 


2001年5月26日(土)

 

1.麓井(ふもとい)酒造(山形県八幡町) 生もと純米吟醸 「輝ら星の如く
原料米;山田錦 精米歩合;50%   【アルコール分】16−17度  【日本酒度】+3 【酸度】1.5  1.8L  @3,465(税込み)
 A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+
E寸評;吟醸酒を造り慣れた蔵元であろう。吟醸酒とはこの様なものだよ、と語りかけてくるような、風情があり、味も香りも申し分ない。満点の女性よりも、この女性の方が近寄りやすく安心して長く付き合える。

 

ラベルも何もないので、写真は有りません

 

 

 

2.黒龍酒造(福井県松岡町) 吟醸 原酒 「黒龍 氷室」 生・無加水 
原料米;山田錦  精米歩合;−%   1.8L \3,000(税別)
A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+
E寸評;「氷室」は、生ビールのアルミタンクのようなステンレス容器に入り、冷却されて窒素ガス圧で店頭で空ビンに小分けしてくれるもの。ラベルも表示も何もない。ステン容器の清酒は蔵元から直詰めされ直送されたもの。
 バランスの取れた味香り、肩肘張った味わいでなく、上品な爽やかさ、柔らかく米の旨さがふんわりと味わえる。適度な酸味と辛口さ、呑み飽きせずに肴を選ばない。 雑味が無く、冷たいときより常温の方がより旨みと香り立ちが良い。蔵元で直に呑むのと同じ条件(ロスタイム無し)で呑めるのは嬉しい。
3.永山本家酒造所(山口県宇部市) 淡麗吟醸  男山 「華きらら」 
原料米;山田錦 精米歩合;50%   【アルコール分】15−16度    720ml   @1,400(税別)
 A;味3、B;香り3−、C;コストパフォーマンス2、D;総合評価3−
E寸評;本醸造までもレベルはなく、普通酒並の酒。

 

4.瀧自慢酒造(三重県名張市) 大吟醸 斗瓶取り 「瀧自慢」  本生
原料米;山田錦 精米歩合;40%   【アルコール分】16−17度  【日本酒度】+5 【酸度】1.2  1.8L  @7,140(税込)
 A;味5、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4+
E寸評;新酒を酒屋さんで冷蔵保管して3年もの古酒としたもの。酒の色は古酒の色、ふくいくとしてドッシリ存在感がある。肉でも魚でも旨いのは腐る寸前だと言われるが、それが当てはまれば、正に今が旨さのピークで、これより寝かせるとダレて来るであろう。大年増な姉御であった。

 

 

5.麓井(ふもとい)酒造(山形県八幡町) 純米吟醸 無濾過生原酒 「(まどか)」 
原料米;雄町 精米歩合;50%   【アルコール分】16−17度  【日本酒度】+4 【酸度】1.2  1.8L  @3,150(税込)
 A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+
E寸評;「輝ら星の如く」に雰囲気の似た味わいの吟醸酒。味は華やか、香りは抑えめ。この「円」と「輝ら星の如く」は好みの別れるところ。雄町も山田錦も旨く造られれば同じように旨い。

 

 

 

6.鹿野酒造(石川県加賀市) 山廃純米吟醸 「益荒男(ますらお)」  無濾過生原酒
原料米;− 精米歩合;−%   【アルコール分】17−18度   1.8L  @3,675(税込)
 A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評;まずいけないところから、無濾過生原酒とうたっていますが、無濾過だから有る程度の濁りは我慢が出来ます。しかし、粒の大きさの違う、もろみが別々に泳いでいるのには感心しません。大きいのは米粒ほど有ります。フィルターの目が同じなら同じ濃さの濁りになるのに、いろいろな大きさの粒が浮遊して居るのはなぜでしょう。 透明に近い液体から味は濃い口、ドッシリと酒の旨さを主張しています。香りも負けずに付いてきています。山廃の嫌らしさが余り感じられません。酸味は有りますが呑みやすく日本酒らしい吟醸酒です。酸味がきつく残りのどが渇きます。

 


 2001年4月28日(土)

 

 

 

1.浜福鶴銘醸(神戸市東灘区)  純米大吟醸山田 「空蔵(くぞう)にごり
原料米;山田錦 精米歩合;35%  【日本酒度】+5 【酸度】1.4  1.8L  @5,000(税別)
 A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価5
E寸評;いつもながらの強い意志とコンセプトによって造られた吟醸酒で、端正な角張った顔立ちと羽織袴の正装と行儀の良さがみられる。この酒は今日買って自家保存して秋口か暮れ頃に呑むと味も練れて素晴らしさか倍加する吟醸酒と思われる。2月に呑んだ山田は60%精白で残念ながら最上点は付けられなかったが、これは文句なしに旨い。おりのわずかに絡む色合いと、それが口中で邪魔にならず、それどころか旨みを倍加させている様はお見事。辛口で飲み手を逆に選ぶが、2杯3杯と杯が重なる。

 

 

 

 

2.神戸酒心館発売(神戸市) 純米無濾過生原酒 「」 
原料米;山田錦・やまびこ 精米歩合;65%   【アルコール分】18−19度  【日本酒度】+3.5 【酸度】1.9  1.8L  @2,500(税別)
 A;味4、B;香り3+、C;コストパフォーマンス3+、D;総合評価4
E寸評;蔵元が酒販店の熱意に答え、ラベルも我々酒販店と神戸酒心館との共同企画という事で600本限定で造られました。「壱」とは始めの一歩という意味、原点に帰るという意味で名づけられました。(酒販店談)
吟醸酒と言うより本醸造酒ではあるが、これぞ日本酒という味わいがぎっしり詰まっている。米の味、晩酌で呑むには贅沢かナ〜という味、だからといって乙にすましていない普通酒に近い味。1年寝かせた(?)味わいときつい酸味、米糠の味わい。よく言えば吟醸酒に近い普通酒、悪く言えば・・そんなことはありません。どんな肴にも合う味わい、旨さ。上手に出来た日本酒です。

 

3.大澤酒造(長野県望月町) 純米吟醸 「明鏡止水
原料米;− 精米歩合;−  【アルコール分】16−17度  【日本酒度】+2 【酸度】1.6  1.8L  @2,755(税込み)
 A;味4、B;香り3+、C;コストパフォーマンス3+、D;総合評価4
E寸評;ラベルの「明鏡止水」、含蓄のある良いネーミングではある。大変良くできた吟醸酒ではあるが、純米酒独特の欠点と長所が出ている。切れが悪く香り立ちも無いが、雑味もなく爽やかで安心して呑める。

 

 

4.喜多酒造(滋賀県八日市市) 特別純米大吟醸 「夢銀河
原料米;− 精米歩合;−   【アルコール分】17−18度   1.8L  @5,250(税込み)
 A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評;何という柔らかい飲み口と品の良さが呑む者を引きつけて離さないのであろう。口中の甘く柔らかい味わいと、純米酒を忘れさせる程の戻り香の何と素晴らしいことか。その味と香りがバランス良くワンセットになって味わえるのは感じ良い。造り慣れた杜氏が肩肘張らず、ごく自然に醸し出した逸品。

 

 

 

 

5.松尾酒造(高知県土佐山田町) 本醸造 「松翁 碧」 室戸海洋深層水使用
原料米、精米歩合;−   【アルコール分】15−16度   1.8L  差入れ酒(¥1200位)
 A;味3+、B;香り3、C;コストパフォーマンス差入れ酒、D;総合評価3+
E寸評;高知県が押し進めているブランドの室戸海洋深層水を仕込み水に使った清酒。
 ごく自然な日本酒。吟醸酒の様な味香りは当然無いが、呑み易さでは抜群。雑味も無く、切れもあり、普通酒のような品性のなさがこれにはない。ベースになっている味はスポーツ飲料(アクエリアス)のような、アサヒ麦酒が出した発泡酒の下地の味わいに共通するものがある。毎日呑む晩酌酒には最高。

 

 

6.武内酒造店(金沢市) 吟醸酒 御所泉 「源酒
原料米;− 精米歩合;−  【アルコール分】20−21度  720ml 贈り物
 A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス贈り物、D;総合評価4+
E寸評;同蔵の「古都のいずみ」は春風の如く爽やかさらりで、女性的な吟醸酒でしたが、この「源酒」は男性的な趣で、ドッシリと腰の据わった落ち着きと旨みは流石。アルコール度数が高いだけ、口中の密度感は高い。1杯で2杯分の酔い心地がする。


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