最近呑んだ吟醸酒について
   
      

2003年1−3月分                     

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  これからの話は消費者(飲み手)という立場で書いていきます。評論家や蔵元、酒屋の立場では見ていません。また、音楽とか味覚とかいう物は大変抽象的で表現が難しいのですが、平易に書きたいと思います。 よく、食べ物店の紹介記事で絶賛している物を食べると、首を傾げたくなる時が多々ありますし、テレビでリポーターが口に入れたとたん「うまい」と発言しているウソ等はここでは、しないように心がけています。
 

   ◆月に一度の例会とイレギラーで飲んだ吟醸酒について、ズバリ、どういう酒か皆様への判断基準を書きます。 
 A;味、B;香り、C;コストパフォーマンス、D;総合評価を、各5点評価(5;最上 4;良 3;まあまあ 2;まだまだ 1;評価外)で表します。 総合評価3−(マイナス)以下ではもう一度買うかと言えば、考えてしまうレベル。2ではタダで贈られても困ってしまうレベル。 
 私の独断と偏見なしで評価し、E;寸評も入れます。なお、会での評価も、判断基準の参考にしています。また、評価はこの日に飲んだ吟醸酒の味で、次回も酒の性格上、ロットや時間が変れば同じとは言切れませんが、傾向としては、間違ってはいないと思います。

 


 

 吟醸酒の会へのお誘い 

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イイお酒を、イイ友と、イイ肴と、イイ会話で月1回楽しむ会です。◇

 


 2003年3月29日(土)  


 
1.英君酒造(静岡県由比町) 英君 吟醸 「特別袋吊り」 雫酒 
原料米;五百万石、 精米歩合;50%(自家精米) 【アルコール分】17.5度 【日本酒度】+7 【酸度】1.2   【酵母】静岡酵母NEW−5  1.8L  \3,675(税込)
A;味5、B;香り4、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+
E寸評; 決して薄くはないのですが、さらりとしています。バランスされて品性豊か、いくら飲んでもサラサラのどを通りすぎ、飲み飽きしません。香りはミント系のさわやかな吟醸香です。
会で飲みきったのはこの英君が最初です。それだけモテタのです。

 

 

2.八百新酒造(山口県岩国市) ”槽出あらばしり”純米 無濾過原酒「雁木・生
原料米・精米歩合;山田錦60%(麹)、五百万石 58%(掛)、 【アルコール分】17〜18度 【日本酒度】+2.5 【酸度】1.8 【使用酵母】協会15号   1.8L 2,780円(税込)
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評; 香り高く、濃厚な味わいながら爽やかさがあります。純米にしては突出した華やかで上品な香りに包まれ、切れ味の鋭さとバランスされた芳醇な旨味が頂点で融合している。
新酒にしては熟成された貫禄を早くも持ち合わせています。

 

 

3.喜多の華酒造場(福島県喜多方市) 特別純米 「星自慢」  生・無濾過原酒
原料米・精米歩合;五百万石50%(麹)、たかねみどり55%(掛)、 【アルコール分】18〜19度 【日本酒度】+4 【酸度】1.5  【酵母】 協会901号  1.8L  \2,400(税別)
A;味4、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4+
E寸評; 喉ごしの切れは抜群、柔らかい味わいなのでつい手がでますが、アルコール度数が高いので酔います。また、戻り香がすばらしいので、味わいを引き立てます。純米酒の欠点をアルコール度数を上げて、切れと香りを引き出す手法は一つのいき方でしょう。
晩酌酒にしては贅沢すぎる酒です。

 

 

4.富士高砂酒造(静岡県富士宮市) 純米吟醸 「高砂 雄町」 
原料米;雄町、 精米歩合;50% 【アルコール分】15〜16度 【日本酒度】+4 【酸度】1.2  【使用酵母】協会15号   1.8L 3,200円(税 別)
A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評; 丸く優しくバランスはとれていますがパンチがありません。雄町特有の懐の深さを感じさせません。雑味が無く柔らかいので、どんな料理にも合うでしょうし、肴をいじめません。
 「星自慢」がちゃきちゃきの江戸っ娘(子)とすれば「高砂」は引っ込み思案な思慮深い娘さんでしょう。

 

5.若林醸造(長野県上田市) 大吟醸 「月吉野」 
原料米;美山錦・山田錦、 精米歩合;40% 【アルコール分】15〜16度   720ml  1,812円(税別)
A;味3+、B;香り3、C;コストパフォーマンス3、D;総合評価3+
E寸評;新酒。まだまだレベルが低いようです。もう少し勉強が必要です。

 

 

6.天領誉酒造(長野県中野市) 純米吟醸 「天領誉 雄町」 無加水生原酒
原料米;雄町、 精米歩合;49% 【アルコール分】17〜18度 【日本酒度】−5 【酸度】1.8  【使用酵母】協会15号   720ml   2,500円(税別)
A;味4+、B;香り4+、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4+
E寸評;新酒 。充分な吟醸香と濃厚な味わいの吟醸酒で、良くバランスしてます。ラッピングのアルミ箔の袋は気が利いています。商品価値も高めますが、直射日光を避けるためには最高の方法でしょう。蔵本の配慮に敬意を表します。

 

 ■今回の飲み比べでおもしろい組み合わせに遭遇しました。「英君特別袋吊り」と「雁木・生」 の取り合わせです。雁木の濃厚な個性と英君の春風のごとく柔らかい個性がうまくマッチして、熟成された漫才師のコンビのような”ボケとツッコミ”、円熟した夫婦の阿吽の呼吸のような、お互いの個性を伸ばし欠点を補い合うような関係がそこにありました。濃厚な雁木はやはり疲れます。その後で英君を飲むと心安らかになります。どちらか片方だけだと何か物足りなさを感じますが、雁木と英君を交互に飲むとお終いが無くなります。こういう組み合わせは初めての出会いですが、良いコンビだと思いました。


2003年2月22日(土)  

 

 

 

1.芳水酒造(徳島県井川町辻) 芳水(ほうすい) 「一番」 しぼりたて生吟醸酒
原料米;福井五百万石、 精米歩合;60%   【アルコール分】18.2度   【日本酒度】+5 【酸度】1.8  1.8L  \2,200(税別)
 A;味4+、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4+〜5
E寸評; なんて美味い酒なんだろう。一口、口に入れると吟醸香が湧き上がってくる。今まで忘れていた吟醸香です。味わいも新酒の清涼感ある炭酸の酸味と奥深い旨みとバランスされたまろやかさ。この値段では考えられない品質です。
 世の中振り子の様にアル添酒一辺倒が「偽物だ!」と言う意見で猫も杓子も純米になってしまった。しかし、振れ過ぎた振り子は何時かは戻らなくてはならない。それが中庸の位置で止まった所がベターなんだけれども、今は純米の方にふれすぎています。純米イコール、イイ酒は当てはまりません。調味料の様に少しのアルコール添加でこれほどの香りと喉ごしの良さが味わえるなんて最高。吟醸酒の本当の味わいを出すにはどうしたらいいのか、もう一度原点に戻って蔵元さんも考えて欲しいと思います。 《純米酒=ピュアー(純粋)=旨い》、の公式は当てはまりません。旨いのと純粋(純米)は違います。(ホームページの伝言板に推奨の書き込みがあったので飲む)

 

2.菊司醸造(奈良県生駒市) 純米 「往馬(いこま)」 
原料米;アキツホ、 精米歩合;60%   【アルコール分】16度   【日本酒度】+4 【酸度】1.8    【使用酵母】協会9号 1.8L  \1,950(税別)
 A;味3、B;香り3+、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価3+
E寸評;協会9号の特徴が良く出たお酒との推奨品。 爽やかな吟醸香を僅かに香って来ます。味はごく普通のお酒、辛さと渋味とが強く、さらさらの平坦な味わい。

 

3.安本酒造(福井県福井市) 純米吟醸生酒 「白岳仙(はくがくせん)」 中取り
原料米;備前雄町、 精米歩合;−%   【アルコール分】15〜16度   1.8L  \3,000(税別)
 A;味3+、B;香り3−、C;コストパフォーマンス3、D;総合評価3+
E寸評; 薄にごり新酒。極わずかに白濁しています。通常このにごりから旨みが味わえるのですが、それは期待出来ません。雄町の味の深さとまろやかさはどこにもありません。ラベルに雄町と無ければ誰も判らないでしょう。香りは求めることが出来ません。

 

4.初亀醸造(静岡県岡部町) 純米大吟醸 「初亀 滝上秀三」 
原料米;山田錦、 精米歩合;35%   【アルコール分】16〜17度   【日本酒度】+5 【酸度】1.4   【使用酵母】協会14号  1.8L  \10,500(税込)
 A;味5、B;香り3、C;コストパフォーマンス3、D;総合評価4+
E寸評; 4年前の古酒。味はまろやか深みがあって、味が凝縮しています。「旨いだろう」と言う奢りもなく、ただただ柔らかく喉を流れていきます。4年の月日の中で香りは何処かに置き忘れて来ています。

 

 

5.佐久の花酒造(長野県南佐久)  純米吟醸 「佐久の花」 無濾過生原酒
原料米;新美山錦  精米歩合;55%  【アルコール分】17〜18度    1.8L \2,500(税別)
A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+
E寸評;新酒 。ロットが二つ有るようです。この口は香りが立つ方です。まず香りが押し寄せてきます。口中花の香りで一杯になってしまいます。味が後から俺も旨いだろうと急かしてきますが、香りが何時までも口中から離れません。食中酒には香りが料理をいじめて合わないでしょうが、食後酒としては今までの料理や酒を締めくくって、ハッピーな気分にしてくれるでしょう。

 

6.富士高砂酒造(静岡県富士宮市)  吟醸 「駿州 中屋」 生酒
原料米;山田錦  精米歩合;50%  【アルコール分】15〜16度   【日本酒度】+6 【酸度】1.0   1.8L \2,380(税 別)
A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4
E寸評;新酒 。吟醸香が爽やかに香ってきます。味はさらさら、酸みと雑味を感じ、まろやかさは有りません。ヤキトリやおでんの友にぐいぐい飲むのに適しています。

 

 

 


2002年1月25日(土)   

1.廣田酒造店(岩手県紫波町) 純米吟醸 中取り 「喜平治」 無濾過生酒
原料米;−、 精米歩合;60%   【アルコール分】16〜17度    1.8L  \2,800(税別)
 A;味4、B;香り3+、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評;うすにごりの新酒。お酒の旨みが充分に詰まっています。普段飲むには充分でしょう。

 

2.三和酒造(静岡県清水市)  純米吟醸 「臥龍梅(がりゅうばい)」  袋吊り雫酒 生原酒
原料米;五百万石、 精米歩合;55%   【アルコール分】16〜17度  【日本酒度】+4 【酸度】1.5  1.8L  \2,857(税別)
 A;味4+、B;香り3、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4+
E寸評; 新酒 。清楚で豊かな味わいを持っています。純米で袋吊りですから、どうしても香りが希薄です。味わいは抜群で、この値段では右に出るものは居ないでしょう。

 

3.正義桜(岡山県倉敷市)  超辛純米 「正義桜」  生原酒
原料米;備前あけぼの、 精米歩合;65%   【アルコール分】18〜19度  【日本酒度】+17 【酸度】2.3  1.8L  \2,500(税別)
 A;味3+、B;香り3、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価3+
E寸評; 超辛純米の肩書きがあります。それが好きなお方はベストでしょう。しかし、お酒はバランスのもの、ただ辛ければイイというものでは無いと思います。人肌に燗をしてみましたが変わりませんでした。

 

4.雑賀豊太郎商店(和歌山県和歌山市)  純米大吟醸 「雑賀(さいか)」  瓶燗火入れ
原料米;山田錦、 精米歩合;−%  【アルコール分】16〜17度    1.8L \3,700(税別)
 A;味4+、B;香り4、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+
E寸評;申し分なく旨みが凝縮されて飲む者を離しません。ただ、生酒のような香り立ちと旨みの一部が欠けた様にさらりとしています。

 

5.中田酒造(岡山県倉敷市) 純米吟醸 歓びの泉 「袋吊り 雄町」  
原料米;倉敷産雄町、 精米歩合;50%   【アルコール分】16〜17度   1.8L  \3,700(税別)
 A;味5、B;香り4、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4+
E寸評; 旨みがギュッと詰まった味わいは流石です。やはり純米袋吊りですから香りは柔らか。味の旨みは絶品です。

 


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