給与所得に対する源泉徴収

概 要
所得税法においては、食事の現物支給や値引き販売などの経済的利益も給与所得に係る収入金額として扱われます。経済的利益の評価は、原則として、「当該物若しくは権利を取得し、又は当該利益を享受する時における価額」とされ、時価評価を原則としています。使用人等が受ける経済的利益にのうち、一定のものについては、所得税は課されません。(⇒トピックス フリンジ・ベネフィット課税
食事の支給
食事代の支給については、使用者が調理して支給する場合には、材料等の金額により、使用者が購入により支給する場合には、購入価額により評価します。
昼食代の支給
昼食代については、使用人等が1/2以上を負担し、かつ使用者負担が月額3,500円以下の場合には、課税されません。
残業食事代の支給
通常の勤務時間外の勤務のために支給する食事代については、課税されません。
深夜勤務者の食事代
深夜勤務者の食事代については、その支給額が勤務1回につき300円以下の場合には、課税されません。
制服などの支給
使用人等に対して、専ら勤務場所でのみ着用される制服や作業服などを支給又は貸与した場合ついては、その経済的利益については、課税されません。なお、現金で被服費用として支給する場合には、課税されます。
永年勤続者に対する記念品等
永年勤続者を表彰するために支給される記念品は、社会通念上相当なものに限り非課税とされます。
創業記念品等
創業記念や新社屋完成記念などに際し、使用人等に支給する記念品は、社会通念上相当なもに限り課税されません。
値引き販売
使用人等に対する値引き販売については、以下の要件をすべて満たすものに限り、非課税とされます。
【非課税とされる要件】
@販売価額が取得価額以上であること
A通常の販売価額の70%以上であること
B値引率が役員を含め全社員一律であること
C家事に使用するためのものであること
金銭の貸し付け
一般の貸し付け
金銭の無利息又は著しく低い金利での貸付に係る経済的利益については、原則として課税されますが、災害や疾病等に基因して貸付けを受けた場合の経済的利益については、担税力を考慮して課税されません。
住宅取得資金の貸し付け
給与所得者が使用者から住宅等の取得資金の貸し付けを受けた場合の経済的利益については、無利息又は年1%未満の利率で借り受けた場合を除き、課税されません。ただし、経済的利益を受ける者が法人の役員又は特殊関係人であるときは、この規定は適用されません。
【年1%未満の利率で借り受けた場合の経済的利益の計算】
取得資金につき年1%で計算した利息相当額−実際に支払う利息相当額=給与として課税される金額
役務提供
クリーニング業や理容業、運送業等のサービス業を経営する使用者が、使用人の日常生活のためにその役務提供サービスを行ったことによる経済的利益については、役員だけを対象としている場合や著しく多額である場合を除き、課税されません。
使用者負担のレクレーション費用
原則的取扱い
使用者負担のレクレーション費用のうち、以下の要件を満たすものは、非課税とされます。
【非課税とされる要件】
@旅行に要する期間が4泊5日以内であること 非課税
A全従業員の50%以上が参加すること
不参加者に対して金銭を支給した場合の取扱い
不参加者に対して金銭を支給した場合には、不参加の理由によりそれぞれ以下のように取扱います。
業務上の都合による不参加 不参加者に対する金銭の支給は、給与として課税されます
自己都合による不参加 参加者及び不参加者とも給与として課税されます
レクレーション費用課税非課税の判定
レクレーション費用
@ 社会通念上一般的に行われる旅行や運動会などの費用か?
NO
NO
参加者全員が給与として課税
YES
A 役員だけを対象としたものか?
YES
YES
参加者全員が給与として課税
NO
B 旅行の場合、上記の原則的取扱いの要件を満たすか?
NO
NO
参加者全員が給与として課税
YES
C 自己都合の不参加者に金銭を支給するか?
YES
YES
参加者及び不参加者とも給与として課税
NO
D 業務上の都合による不参加者に対して金銭を支給するか?
YES
YES
不参加者に対する金銭の支給は、給与として課税
NO
課税されない
使用者契約の生命保険契約等
役員又は使用人を被契約者とする使用者契約の生命保険契約等の課税関係は以下のようになります。
養老保険の課税関係
死亡保険金  生存保険金 主契約の保険料 特約保険料





@ 使 用 者 非 課 税 非 課 税(*)
A 使用人等の遺族 使用人等 給    与
B 使用人等の遺族 使用者 非 課 税(*)
*ただし、役員又は特殊関係人のみを被保険者とする場合には、1/2が給与課税されます
定期保険の場合
死亡保険金の受取人 主契約の保険料 特約保険料





@ 使 用 者 非  課  税 非 課 税(*)
A 使用人等の遺族 非 課 税(*)
*ただし、役員又は特殊関係人のみを被保険者とする場合には、1/2が給与課税されます
使用者契約の損害保険契約等
使用人等を被保険者とする使用者契約の損害保険料等は原則として課税されません。ただし、役員又は特殊関係人のみを被保険者とする損害保険料については、給与等として課税されます。
【非課税となる損害保険料の要件】
@使用者が契約者であること
A使用人等の身体又は資産を保険目的としていること
B役員等のみを対象としていないこと
C保険金受取人が使用者であること
使用人契約の保険料等
使用者が、使用人等が負担すべき保険料や掛金を負担した場合には、給与として課税されます。
【給与等として課税される保険料等】
@使用人等が契約した生命保険契約
A社会保険料
B小規模企業共済等掛金
なお、月額300円以下の少額保険料の使用者負担については、役員又は特殊関係人のみを対象としている場合を除き、原則として課税されません。

永年勤続者に対する現金支給
永年勤続者に対して現金や商品券を支給した場合には、全額が給与所得として課税されます。
永年勤続者に対して自由選択が可能な記念品を支給した場合
永年勤続者に対して、対象となる従業員が自由選択により指定した記念品を支給した場合には、現金支給と同様の経済的効果が認められるため、給与所得として全額が課税されます。
永年勤続者に対する旅行クーポン券の支給
永年勤続者に対して、旅行ギフト券や旅行クーポン券などを支給した場合には、おおむね1年以内に旅行が実施され、かつクーポン券等を支給した従業員から旅行先や旅行社への支払金額等を確認できる旅行実施報告書などを提出してもらう必要があります。
不動産等の値引き販売
値引き販売等の経済的利益については、少額不追求という考え方に基づき、家事使用のための少額のものに限られますので、自動車や不動産等の値引き販売については、この適用から除外されます。