居住者と非居住者

居住者と非居住者の区分
所得税では、個人を「居住者」と「非居住者」にわけて所得税を課しています。
「居住者」とは、国内に「住所」があり、または現在まで引き続いて1年以上「居所」を有する個人をいいます。また、「非居住者」とは「居住者」以外の個人をいいます。
所得税でいう「住所」とは、「個人の生活の本拠」をいい、「生活の本拠」であるかどうかは「客観的事実」によって判定します。したがって、その人の生活がどこを中心に営まれているかどうかによってその人の住所が決まります。なお、「居所」とは、「その人の生活の本拠ではないが、その人が現実に居住している場所」をいいます。
ある人の滞在地が2カ国以上にわたる場合に、その住所がどこにあるかどうかの判定は、職務内容や契約等をもとに「住所の推定」を行います。
海外出向と所得税の精算
会社に勤めるサラリーマンが、1年以上の予定で海外の支店や子会社に出向した場合、この転勤や出向したサラリーマンは原則として非居住者となります。
非居住者が海外で得た給与については、原則として日本の所得税は課税されませんので、出国までに日本国内で得た給与について源泉徴収された所得税を精算しなければなりません。
この場合の精算の方法は、年末調整と同様の方法で行われます。出国の日までに支払った保険料等を記載した「保険料控除申告書」を会社に提出し、「扶養控除等申告書」の記載内容に変更がないかどうか確認します。配偶者控除や扶養控除の適用を受けようとする家族に所得がある場合には、その年の1年分の見積額により適用の有無を判断します。
海外出張等の期間が1年未満であることが明らかな場合には、居住者として確定申告します。この場合、外国で課された税金については、外国税額控除の適用があります。なお、海外出張等の期間が不明の場合には非居住者として申告することになります。
海外出向者の譲渡所得
海外の支店や子会社に勤務している人は、原則として所得税法上非居住者となりますが、非居住者の所得のうち日本国内で発生したものについては日本の所得税が課税されます。
したがって、非居住者でも日本国内にある土地や建物を売却した場合には、譲渡所得として確定申告をしなければなりません。
海外出向した場合の納税管理人の届出
1年以上の予定で海外に転勤すると一般的に日本国内に住所がなくなりますので、原則として所得税法上非居住者となります。しかし、非居住者であっても日本国内で発生した所得については、引き続き日本の所得税が適用されますので、不動産所得など日本国内で経常的に所得が生じる場合には、毎年確定申告をする必要があります。この場合には、本人にかわって税務署に確定申告書を提出したり所得税を納付したりするために、出国する日までに納税管理人を選定して、非居住者の納税地を所轄する税務署に選任届を提出する必要があります。
非居住者の所得控除
非居住者については、所得控除のうち「基礎控除」「寄付金控除」そして日本国内の資産について生じた「雑損控除」の3つの所得控除のみの適用が認められています。

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