無機質で冷たいはずの機械が、人間味や優しさをまとった存在になる――そんな想いを込めた表現が、いつの間にか私の創作の根底に流れる大きなテーマとなっていきました。
『たらし込み』で描く水彩画
水彩画にはさまざまな技法がありますが、私はその中でも「たらし込み」をよく使います。塗った色面が乾く前に水や別の色を垂らし、偶然に生まれるにじみや模様を生かす技法です(動画参照)。この「水しみ」の質感は、見る人によっては金属が錆びたようにも映り、『柔らかい機械』を描くのにぴったりだと感じています。こうして生まれた独特のテクスチュアは、架空のレトロメカと溶け合い、不思議でどこか懐かしく、温かみのある世界を形づくります。
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