「LCA手法による容器間比較報告書<改訂版>」
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いただいた主要なご意見・ご質問等の一覧を下記に記します(内容を変えない程度に編集しています)。ご意見・ご質問等をおよせいただいた方々に御礼を申し上げます。
No | ご意見、ご質問 |
1 | 2001/8/29:T社:SK氏 内容につき、いくつか疑問があります @ここで比較されている容器は、それぞれ、機能が違います。LCAでは機能が同じものを比較するのが基本と心得ます。例えば、レトルト適性のあるスチール缶とレトルト適性のないPETボトル、アルミ缶、紙容器、ガラス瓶を同列で比較するのは如何なものでしょうか?これらの容器はその機能により使い分けられているという現実を無視した議論は机上の空論と言えるのではないでしょうか?例えば、PETボトルや紙容器にコーヒー飲料を充填する場合にはアセプティック充填が必須となり、充填工程での負荷が増大すると思われますが、ここではこのような内容品適性についても考慮されていないようです。 Aリターナブル瓶について良好な結果が得られていますが、通読した範囲では、回収瓶の充填工場に於ける洗浄に係わる環境負荷が考慮されていないように思われます。この洗浄に要する水量は相当なものであり、先年の水不足の折りには、充填工場に対してリターナブル瓶には充填せず、洗浄を必要としない缶を使うようにと要望があったと聞いています。 Bスチール缶、アルミ缶のリサイクルについて、缶to缶と、そうではないカスケードリサイクルについて議論されています。アルミについては、総消費量に占めるアルミ缶素材の比率が無視できないものであるため缶to缶が指向されていますが、スチールについては事情が異なります。粗鋼生産量に占める缶用素材の比率は無視できる程度であり、回収した缶を高炉に戻すことは意味のないこととなります。一方で、電炉原料としての鉄屑の需要があるために電炉原料として利用されているだけであり、これをカスケードとして扱うのは問題があります。鉄屑が不足するような状況になると、高炉で作った銑鉄が電炉綱の用途に流用されることになるでしょう。幸い、当分このような状況にはならないと思いますが。 Cリターナブル瓶の使用を推奨するような結論となっていますが、容器の回収・再使用に係わる費用は中味メーカーの負担となります。中味メーカーはワンウェイ瓶の方がコスト面で有利としてリターナブルからワンウェイに切り替えた経緯があります。廃棄物処理は自治体の責任であるとしてきたことも事実ですが、自治体の廃棄処理や回収・中間処理に係わる費用が不透明です。自治体サイドからは行政の負担が重すぎて不公平だとの声が聞かれますが、メーカーサイドも重い負担を強いられています。自治体は回収・中間処理することによって廃棄物量が減り、廃棄物処理費用が少なくなると思われますが、この辺の収支が詳細には報告されて下りません。安井先生を中心にして立派な研究会を運営しているのですから、行政サイドの情報も集めて、実状に即した評価をしていただきたいと考えます。 以上、思いつくままに感想を列挙致しました。ご検討をお願い致します。 |
8/30:T氏 回答 @各容器の機能は同じではありませんが、500mlのお茶、あるいはニアウォータを保持する機能と設定しています。現実に、この内容物が充填された各容器を測定し、容器重量としています。他の異なる機能については、ISO14041にもあるように、容器素材毎に明示しておくのが良かったように思いますが、これまでも、野村総研や生協では容器間比較を行っており、コピー機や、テレビ、洗濯機、などにおいても基本的な機能は同じでも、異なる機能を備えたものをLCA比較しています。しかしながら、将来的には、ご指摘のような機能を含めて比較したいと思います。 Aリターナブルびんの洗浄水量は計算に加えられています。もちろん水もリサイクル使用されていますので、その分は考慮されています。リターナブルびん洗浄水は1回使用当たりです。これも、実際にボトラーから入手したデータです。ペットや缶の容器素材製造時の1容器当たりの使用水量が、いかに大量かを示していると考えています。 Bカスケードとして扱うのに問題があるかないかではなく、容器素材から容器以外の他製品に使用される場合をカスケードリサイクルと呼んでいます。ご指摘の通りであると思いますが、単純に容器比較となると業界のバックデータを考察することは難しく、また、どのように評価したらいいかよくわかりません。今後の課題と思います。 CLCAは環境影響を評価する手法であり、コストの評価にはLCC(ライフサイクルコスト)や環境会計の様な手法が必要かと思います。リユースやリサイクルに係わるコストを企業や行政が素直に公開するとはとても思えません。しかしがら、将来的には、是非トータルコストを含めて比較してみたいと思っています。 |
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9/6:T社:SK氏 現状では仕方がない面もあるが 現状では仕方がない面もあることは十分に認識してはおりますが。 @の回答については甚だ不満です。確かに、500mlのお茶やニアウォーターの容器を対象にして評価されているということですが、LCAでは評価範囲を明示することが必要と思いますが、報告書を通読した範囲ではそれを探すことができませんでした。そんな訳であのような質問になったのです。そこで、対象としている内容品がお茶やニアウォーターであるなら、導き出された結論も納得がいくものと言えます。ただし、この報告書のように、評価範囲を明確にせず(どこかには書かれていると思いますが、それを探せないような状態)に結論を出すと、読者は内容品によらない結論と勘違いします。そして、内容品がビールや炭酸飲料である場合には全く異なる結論となると予想されます。なぜなら、紙容器は耐圧強度が不足しており、これらの内容品には適用できませんし、PETボトルも酸素ガス・バリアー性が不足しているのでビールには不適なため、実用化されていないからです。 一方で、スチール3ピース缶は、主に、レトルト処理が必要な内容品に適用されているものであり、お茶やニアウォーターにも一部で採用されてはいますが、これはスチール3ピース缶の特性を活かした用途ではありません。 このように、容器はその機能により、内容品毎に使い分けされているという現状を考慮せず、また、対象範囲も明示せずに、スチール3ピース缶は環境に対して好ましくない容器であるとの結論を、あたかも一般的な結論のように示すことには問題があると言わざるを得ません。 Bのカスケードリサイクルの問題についても、言葉使いを問題にしているのではありません。要は、スチール缶をリサイクルしても低品位のスチールにしかならないというような捉え方、アロケーションの方法に問題を提起している訳です。東京水産大学の石川先生が「包装技術」、2001/9にデンマークの研究事例を紹介されておりますが、その研究では、「スチール缶とガラスカレットはバージン資源から製造されている他の製品に利用される」としているとのことで、このような取り扱いが妥当と思われます。 |
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9/7:M社:H.A.氏 SK氏のご意見@について 中身メーカーの者として、ご意見はよく分かります。容器には必要とされる様々な「機能」があり、総合的に勘案してベストな形態を選択することになります。かくいう私の勤めるメーカーも、評価の最も低い「ワンウェイビン」を多用しております。 本検討会での成果は、同じ土俵で評価できる一般モデルを示されたということであり、意義は大きいものと考えます。但し、メーカーとしては、限定される選択肢の中で、より詳細に評価する形で応用していく必要があると考えております。望ましくは、より応用を意識されたモデルの設定を検討されるべきと考えます。(検討会で取り組む範囲外とされるのであれば、その旨明確化された方が誤解がないと思います。) |
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2 | 9/7:B社、HO氏 不明点、要望等 興味深く報告書を読ませて頂きました。初版を出されてから1年後に改訂版をだすタイムリーな変更に関しては、今までにない報告書であり感心いたしました。また新しい試みとしてインパクトを試行され、LCA関係者が待ち望んでいた内容だと思います。 下記に不明点、要望等述べさせて頂きます。
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9/10:N氏 回答(1)
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9/10:伊藤 回答(2)
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9/17:T氏 1.の補足説明(リターナブルびんとワンウェイびんの重量差) リターナブルびんとワンウェイびんの重量差について補足させていただきます。 従来のリターナブルびん(コーティング無し)はワンウェイびんに比べてかなり重いものでした。これは、ガラス表面に傷が付くと強度が急激に落ちるため、初期強度を高くし、びん表面に傷が付いた状態でもワンウェイびんと同等強度を維持させるためです。 この強度低下を防止するため、50μ厚さ程度の樹脂コーティングが開発され、ワンウェイびんと同重量であっても、何回使用してもガラス表面に傷が付かず、したがって強度劣化しないリターナブルびんが完成しました。コーティングはびん口部下から底部周辺までの外表面に施されています。 コーティングは樹脂ですので、使用回数の増加に伴う細かい傷により白化してきますが、現在の樹脂コーティングでは20回以上使用しても白化はまったく目立ちません。従来のリターナブルびんは重いというのが常識でしたが、ガラスびん成形技術とコーティング技術の進歩により、ワンウェイびんとほとんど変わらない重量のリターナブルびんが使用されつつあります。 |
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3 | 9/7:M社:H.A.氏 ガラスビンのLCIA分析について (申し訳ありませんが、細かなデータのレビューはできておりません。ただし、前回報告書の内容を論議させていただいた時点で、結果の根底を覆すものはないと考えております。) ガラスビンのLCIA分析について パネル(伊藤注:重み付けアンケート回答者)の一人として、大変興味深く拝見しました。 結局評価手法に関わらず大勢には影響しないという結論?が、面白くもあり直感的にうなずけるものでもありました。ただ1個所、廃棄物を重量のみで評価している点が、ガラスビンの身内びいきも含めてしっくりきません。確かに重量がかさむので他の容器に比べて不利なことは理解できますが、材質としての安定性や割ればかさが減ることなどを考慮すべきではないでしょうか。 (また)「捨てる」場合と「再び使う」場合の比較をわかりやすく評価できれば、今後のリサイクルのあり方を論議する上でも大変意義があるものと思います。 |
9/10:伊藤 回答 廃棄物に関しては、容器間比較研究会内部でもいろいろと検討を進めていました。「埋立処分場の枯渇」の観点からは重量よりも体積による評価の方が望ましかったかもしれません。ただ、従来のインパクト係数のほとんどが重量単位あたりであったことや、埋立時のはPETなどの圧縮率をどのように考えればよいかといった不確定要素がさらに入り込むことから、単純に重量による評価にとどめることにしました。ガラスの安定性も同様の理由から評価していません。個人的には、LCAに多くを評価させようとするほど、逆にLCAの不確実性が増大しますので、廃棄物に関しては重量で一本化してもよいのではと考えています。 |
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4 | 9/12:F社:MK氏 紙容器の取扱い(水質汚濁,流通)について 当方の見落とし等でしたらすみませんが、下記に要望等記載させて頂きます。 1.水質汚濁(p22)について 水質汚濁物質の点ですが、実にあっさりと記載されていて、単に「紙容器」が極めて大きいとのイメージを持ってしまいます。データをじっくり読むと、ほとんどが板紙製造時に発生していることがわかります。その旨の記載とか、先のページ(例p26)のように水質汚濁物質もステージ毎に記載していただければと思いました。 多分この先、「牛乳の容器として何が最適か?(骨董品のテーマですネ!!)」などを考えたりするとリサイクル時の容器洗浄をシビアに考えなければならないような気がします、そのためにもステージ毎の記載があればと思います。 2.流通(p17)について 「紙容器」の流通についてだけ4tトラックで、他は10tトラックで算出しています。そのため、付録2の回収率・流通距離などで4tトラックを利用している紙容器の値が流通距離の増加に伴い負荷の増加量が大きくなっています。もちろん、実際に紙容器では4tトラックが主流かもしれませんが、素人考えでは特に紙容器が4tトラックで他の容器が10tトラックでなければならない理由が思いつきません。流通手段を比較することが主でなければ、流通時の負荷は「内容量+容器(+搬送用ケース)」の重量に比例するようになる方がわかり易いと思うのですが、いかがでしょうか? 要望ばかりですみませんでした。どの容器が一方的に良いとか悪いとかでなく、リサイクル(当然リサイクルも含む)まで含めて、「各容器への最良の対応」が行なえるような指標となることお待ちしてます。 |
10/24:N氏:回答 1.ご意見ありがとうございます。次号では、水質汚濁物質に関しても詳細な記載等が必要と考えています。ただ今回、詳細な記載を行わなかった原因の一つに、水質汚濁物質に関して全ての容器のデータが揃わず、比較が困難であった点も御理解頂けたらと思います。特に、スチール缶に関する水質汚濁物質のデータが入手できませんでした。今後はこれらのデータを入手し、全容器での比較を検討していくつもりです。 2.貴重なご意見として受け止めさせて頂きます。今回の流通におけるトラック輸送の条件は、中身メーカーから実際の流通事情をヒアリングして決めたものです。しかし、紙容器に関しては、ヒアリングではデータ入手ができませんでした。そこで、各報告書・資料を参考とし、さらに紙容器の形状保持等を考慮して、流通における輸送条件を決めました。これについても、今後検討していく次第です。 |
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5 | 9/21:(財)化学技術戦略推進機構:鈴木仁氏(部長研究員):報告書の感想 ・(財)化学技術戦略推進機構(JCII)で経済産業省からの委託研究「廃棄物の少ない循環型プラスチックの設計・製造技術開発」の窓口担当をしています。この度弊部磯部部長研究員から、弊部で最も関係の深い担当グループにコメントを依頼され敢えて筆をとることにしました。 ・標記委託研究は、プラスチックのリサイクル対策が、ライフサイクル全体(製造→消費→回収→再生・再利用)で、廃棄物等の環境負荷やコストにどのように影響するかを評価・解析し、リサイクル技術や物流等の対策の最適なあり方を判断するための材料を提供するシステム(注)開発を実施しています。 又将来誰でも(行政、企業、個人)データを入れて評価出来るようなオープンなシステムに仕上げることを目指しています。プラスチックとしてはPETボトルを例にして、平成12年度に開始し15年度末完成を目指してシステム設計研究を現在実施中です。(注:製造、物流、環境を取り扱うデータベース、シミュレーションシステム) ・この度貴報告書を読ませて戴きました。小職は高分子材料の開発を企業で経験し、現在研究プロジェクトの管理・推進を担当している者でLCAについては専門家ではありませんが、実施中の研究ではLCAは大変重要な部分であり、参考にさせて戴きたいと思います。以下に個人としての感想、質問を記します。
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6 | 9/26:X府K部:AK氏:感想 内容については、非常によくまとまっており、多方面の基礎資料として活用できる内容だと考えております。現在導入が進みつつあるPETtoPETについても、このような評価が必要なのだろうと考えております。 |
7 | 10/17:A大学:NK氏:再計算に必要な各種データについて 標記報告書を購入した者です。自分でもLCA計算をしてみたいと思っております。以下の点についてご教示戴ければ幸甚です。
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10/19:N氏:回答 ご質問に関する返答をさせて頂きます。
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10/24:N氏:追加回答 6.p222 「紙容器製造」の項で、紙容器1kg製造するに要する板紙の重量。 ・ 板紙重量:0.934893829kg |
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8 | 2002/1/8:A大学:NK氏:数値に関する確認と「産廃」について 新たにわからないところが生じました。ご教示いただければ幸甚です。
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1/9:N氏:回答
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9 | 1/22:B大学:NT氏:PETボトルInventory data について 時間消費法を初めて拝見し,大変興味深く報告書を読ませて頂きました.以下の点についてご教示戴ければ幸いです.
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1/24:N氏:回答 質問の回答をさせて頂きます。 基本的には、「ライフサイクルインベントリー分析の手引き」、もしくは「プラスチック製品の使用量増加が地球環境に及ぼす影響(プラスチック処理促進協会)」に記載されていたデータを引用しております。これらをご参考にされると宜しいかと思います。ただし、「基礎素材のエネルギー解析調査報告書(化学経済研究所)」と多少物質収支が異なるようです。 |
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1/30:B大学:NT氏:再質問 お忙しい中,25日にご返答を頂きまして,ありがとうございました.お礼が遅くなり申しわけありません.ご回答を以下の内容で頂いたのですが,さらに質問させて頂きたく思っております.上記の文献を参考にした上で計算してみたのですが,数字を整合させることができず悩んでおります.大変申し訳ないですが,上記1〜4についてご教示戴ければ幸いです.1〜4の質問においておそらく同じ性質の疑問と考えられますので,以下の質問を例に自分の計算方法を書かせて頂きます. ----------------------------------------------------------- 4.. p78 「ナフサ分解」の項における,物質収支の算出法. について p78 「EG製造」の項における物質収支においては,0.464 となっておりますので,それに対する原料のエチレンは0.310 となります.(ライフサイクルインベントリー分析の手引き p62より) 次に前のプロセスであります,ナフサ分解においては,ナフサ3.60 に対してエチレンは1.00 生成されております.(同文献 p61より)よって,EG 0.464 生成するために必要なナフサの量は, 3.60 * 0.310/1.00 = 1.116 と考えました. しかし,報告書p78の「ナフサ分解」の項における物質収支では,0.274759152 と記載されており,整合することができない状況であります.そこで,どのような算出法をなされたのかをお聞きしたいと思っております. また,最終的に 1kg のPETボトルを生成するために必要な原油採取量は,0.591041331 (報告書p75) + 0.27629412 (報告書p77) = 0.867335451 というように,原料の量が生成量よりも小さいものになっておりますことも関係があるのでしょうか? お忙しいところ非常に恐縮ですが,宜しくお願い致します. |
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10 | 11/1: 大学生ペンネームM:未来型ペットボトルのLCAについて 今回、報告書を購入した者です。大変興味深く拝見させていただきました。以下の点についてご教示いただければ幸いです。 今回の報告書で省かれているペットボトルのリサイクルの未来型(PET to PET)についてです。 回収ボトル→DMT→TPA→ボトル用ペット樹脂という工程で2003年10月からペットTOペットを事業化する企業があると知りました。 報告書を拝見させていただき、ペットボトルのリサイクルについてのこれからを考える際にやはり未来型のペットボトルとカスケード型、さらにリターナブル型との比較も考えていかなければならないと考えました。 現在、ペットTOペットのLCAは研究なされている途中だと思いますが、ペットTOペット、またリターナブル型は、製造時に使われるエネルギーと比較してどの程度のエネルギー消費になるとお考えでしょうか。 |
11/3:N氏:回答 1.リターナブルペットの場合、海外でのリターナブルペットの事例が参考になると思います。 ペットボトル容器の厚さ(重量)が1〜2割増加する程度だと考えられます。 2.PET to PETは、国内でもまだ限られた場所(企業3社程度)でしか試みられておらず、詳細は分かりません。 ただし、今年度環境省で「容器包装に係わるLCA調査・検討」プロジェクトが行われており、この中で実際にPET to PETのLCAも検討される予定です。我々もこれを参考にして再度報告書等でまとめるつもりでおります。 |
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11/5:再質問(ペットTOペットの劣化について) お忙しい中、質問に回答していただき有難うございます。リターナブルについては重量を考慮して考えていきたいと思います。 もう一つ質問をよろしいでしょうか。 ペットTOペットの劣化についてです。ケミカルリサイクルにより再生されたペットボトルが増加していき、その再生ペットがまた回収され、リサイクルされていくことになると、再生ペットは品質が劣化、または、品質がばらつくのではないかと考えました。 劣化についてはLCAではどのように考えていくべきなのでしょうか。 もし、ペットTOペットのLCAを考える場合は、リターナブルのように利用回数(再生回数)を設定し、その回数で各数値を計算することになるのでしょうか。または、劣化を補うためのエネルギーも追加して考えていくべきなのでしょうか。 |
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11 | 12/25:ヤギさん:質問 2年前まで某会社の研究所に勤務。その間LCA(分野問わず)と環境がらみの調査をしていました。1昨年リタイヤし、現在自宅で下請けの調査仕事をやっております。廃棄PETボトルの処理について関心があり、12月19日に入手し読ませて頂きました。PETボトル製造とその廃棄について、以下の質問が生じました。 1.PET樹脂製造(p79)、PP樹脂製造+加工(p83)、LDPE樹脂製造+加工(p85)、BTX抽出(p87)などで蒸気使用量が出ておりますが、それぞれにおける蒸気の熱価(kcal/kg)および、この蒸気を発生させる燃料からのCO2発生量を教えてください(試算してみましたが表数値と合いません)。 2.本誌中の数値について 2-1 .焼却されるPETボトル重量0.03732kg(p90)はどのような由来の値でしょうか(PPキャップおよびその部分のPETをもぎ取った本体重量か?)。 2-2. PETボトルのCO2排出係数は1.425kgCO2/kg ですが(p91)、高月先生のデータでは2.25(乾ベース)から1.84(湿ベース)で大きく異なります。この違いは? 出典:地球環境研究総合推進費「地球温暖化と廃棄物」「廃棄物リサイクルと温室効果ガス削減について」京都大学環境保全センター 高月 絃 (http://homepage1.nifty.com/eco/pdf/miyako-no-agenda.pdf) 2-3. 焼却施設での電力消費はCO2排出原単位から試算すると購入電力のようですが、発電付きの焼却の場合には発生電力を使うと考えられます。この電力分のCO2はPET焼却の排出CO2に含まれるため、排出分として計上しなくてもよいのではないでしょうか? (発電なし)の場合の所内電力は購入電力のため、計上必要。 3.PETボトル廃棄のシナリオ設定の 焼却・埋立(発電有り)(p91)、(発電なし)(p92)において、廃棄PETボトルを分別収集して、それPETのみを焼却することは容リ法が発効した現在、考えにくいシナリオではないでしょうか。なぜならば イ.PETボトルの熱価が低いとは言っても、それのみの焼却では温度が上がりすぎて炉が耐えられないだろう。 ロ.家庭などはリサイクルを期待して、手間をかけて分別して出しているのに、焼却処理しては住民感情に反する。 (収集PETが多すぎ、リサイクル処理が間に合わないので、収集物を闇で埋立、焼却がなされているかも)。したがって、一般可燃ごみに混入したまま焼却処理するシナリオが考えられますが、焼却・埋立(発電有り)(p91)、(発電なし)(p92)ではどのような計算法となるのでしょうか。 (一般可燃ごみに3から5wt%含まれるとし、ごみ1tあたりの投入エネルギー、排出CO2量(LCA計算)にPETの重量比を掛ければよいのでしょうか 一般ごみ焼却については自作検討結果を添付しました。) 4.その他 4-1 ごみ焼却のLCAをやって気が付いたのですが、ごみ焼却での電力を電力会社へ売れば売るほど、電力会社の電力のCO2排出原単位が上がることになるのですネ。今はまだ微々たる量で影響ありませんが。 4-2 プラスチックごみを油化する場合のLCAをやってみようと考えていますが、産出油(A重油相当品)と対比すべき本来のA重油のLCAデータを探しています。石油精製での(物質収支)値、投入エネルギー原単位など、教えていただけませんか。 |
12/25:ヤギさん:追加質問 投入電力の熱量換算について 5.本文ではエネルギー種を電力(kwh)と燃料(石油類)kg に分けて記述してありますが、まとめの表7-4-2(p20)ではエネルギー消費量がkcalで示してあります。それから換算すると、電力の熱量換算には2千kcal台/kwhを使っておられるようです。小生は以下の理由から、使用端の電力の熱量換算には物理定数である860kcal/kwhを使うべきであろうと考えていますが、この考え方についてはいかがでしょうか。 5-1.国内でよく使われる、2250kcal/kwhは事業用火力発電の需要端での効率から定められたものだからです。火力発電のみのCO2排出係数は0.729kgCO2/kwhになります。実際には、CO2を排出しない水力や原子力発電からの電力が加わるので、 電力のCO2排出係数は0.426kgCO2/kwhにまで下がります('95年値) 出典:環境省。 860を使えば、電源構成や発電の熱効率には無関係のkal換算値になります。ただし、CO2については日本国内での電力使用時には電源構成を反映した0.426kgCO2/kwhとなります。外国での使用電力では電源構成や発電の熱効率の違いでCO2排出係数は当然異なってきます。 5-2.'80年代にエネルギー・アナリシスが流行し、そこでも電力についてどのような換算値を用いるべきかが議論されました。大筋としては、使用端では860の換算値が合意されております。2250kcalというのは1kwhのエネルギーを生み出すために投入されたエネルギー(=エネルギー・コスト=金額ではない)であり、使用端において、1kwhの電力は、作り方がどうであれ、その働きが変わるわけではないからです。 もし、2250を使うとすると、エネルギー・コストの考えに立つことになり、他の投入されるエネルギー、例えば、重油、軽油、都市ガスなども、物理的な発熱量値ではなく、それを1kg作り出すために投入れたエネルギーをも加算した値(従って発熱量値より大きな値となる)を用いなければなりません。LCAにおいて、一般に燃料についてはこのような値を用いて計算されず、電力のみエネルギー・コスト値を使うということは、論理の一貫性に欠けます。 このような疑問点もあるので、本誌でも電力と燃料を分けて記述されたのではないかと想像されます。この考えに対するご意見をお願いします。 |
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2003/1/8:N氏:回答 1.(蒸気の熱価(kcal/kgおよび、この蒸気を発生させる燃料からのCO2発生量:)1kgの蒸気を製造するのに、燃料として706kcal相当の重油を消費するものとして算出しております。 2-1.(焼却されるPETボトル重量:)報告書の前提条件にあるように、この数値はPETボトル全体重量です。 2-2.(PETボトルのCO2排出係数:)高月先生のデータをよく理解しておりませんが、この数値は「PET素材の燃焼由来のCO2排出量+助燃剤等からのCO2排出量」として算出しております。 2-3. (焼却施設での電力消費:)確かにそのような考え方も適用できるかと思いますが、発生電力を別途利用するケースもありますので、ここでは区別して表記しました。 3.(PETボトル廃棄のシナリオ設定:)ここ数年でPETボトルの収集量は飛躍的に伸びてきております。その点を考慮すると、このシナリオを再検討する必要があることも否めません。しかし、容リ法が発効された現在でも、必ずしも(100%)回収されて再資源化されているとは思われません。いずれにしても、今後再考し直すつもりでおります。 4-1.(ごみ焼却の電力発電:)何を燃料として使用するかによる違いだと思います。廃棄物発電の場合、元来は別の用途で使用されていた物を燃料として利用するわけですから、廃棄物の有効利用として考えることもできます。埋立廃棄物の減量(減容)化にもなりますし・・・。 4-2.(プラスチックごみからの産出油と対比すべき本来のA重油のLCAデータ:)プラスチック処理促進協会および化学経済研究所の報告書等を参考にされると宜しいかと思います。また、我々もIHI(石川島播磨重工業)と、触媒を利用した廃プラスチックの油化処理のLCAを検討しております。近々、日本エネルギー学会誌に論文として掲載される予定ですので、参考になさってください(別刷りをご希望なさるようでしたら、郵送先をご連絡ください)。 |
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1/9:ヤギさん:ご回答に対するコメント 早速ご回答いただき、有り難うございます。ご回答について、2、3コメントをいたします。 2-1.ペットボトル重量37.32gについて 塗料製造の項がなかったので、最初の条件(p75)の塗料1.00gの記載を見落としました。失礼いたしました。 2-2.PETボトルのCO2排出係数について PETの構造式(例ばhttp://www.polyplastics.com/jp/product/lines/gfpet/rp.html)から分子量192として計算すると、PET素材の燃焼由来のCO2排出量CO2排出係数は最も低くとも2.29kg-CO2/kg-PETとなります(また助燃剤等はC重油が別掲してあります)。1.425kgCO2/kgはやはり低すぎると考えます。 4.その他 を述べた背景は、 .環境省の「平成12年度 温室効果ガス削減技術シナリオ策定調査検討会報告」(平成13年3月)(http://www.env.go.jp/earth/report/h12-03/)において「6.各部門の削減ポテンシャル--エネルギー転換部門の削減ポテンシャル」の中に廃棄物発電の導入促進が述べられています(pdf.ファイル参照)。2010年度において、一般廃棄物焼却量を2930千t/年、産業廃棄物を1730千t/年とし、焼却炉の発電効率を20%と向上させることにより合計発電量24.5*10^9kwh が可能と試算しています(pdf. p19)。しかし、削減ポテンシャルのまとめ(同 p33)において、CO2削減量については「被代替電源を想定していないことからCO2削減量を示していない」としています。温室効果ガス削減のために新電源を求め、CO2排出係数の高い廃棄物焼却発電の導入を促進するというのは矛盾していると考えたからです。 |
以上