写真歌壇

写真協力はTakaさん





桜色花より赤き酔いの顔

花びらを一枚浮かべコップ酒

花よりも団子が集う花の下

スーパーの袋を下げて仰ぎ見る
         小公園の桜ひらひら




桜散り人閑かにて真如堂

花終えてピンクの絨毯苔の上




ふくらんだ梅の蕾に春霜が
       紅き面に白粉を塗り


梅の花春だ春だと言いながら
                  己が咲きしを首すくめ待ち


まだ寒き畑道行き曾我の里
     梅の香りにひとときの春






明日までは雛に一部屋明け渡し

白酒に頬赤くして「はい、ポーズ」

未だ寒き春に春呼ぶ雛飾り

雅なる雛壇にだけ春の風


梅桜競いて咲きし北の春

微睡みの床屋のラジオ梅便り

吐く息の白さ薄れる春の朝

梅だより桜と重なる長き島


先を行くテレビCM雛飾り
     梅の便りに少し追い着き

舞い踊る雪に震える桜月

人に酔い桜に酔いてバスツアー
待つ人の気持ちを窺う花の雨
宴待つ人に寂しい花の雨
風溜まり我が車庫に散る藤の花
仁和寺の庭に残りし花ひとつ
春の陽に猫も微睡む北野宮
京の旅夏より暑き春の街
降る雨の街灯の陰花淡く
お花見を終えての雨に気は優し
夜桜に雨降り落ちて妖しげに
雨降りて新聞かぶり花の宴
春の酒菜の花和えに朧月
熱燗をぬる燗に変え春一夜
雪解けの滴の先に春キラリ
校庭の桜が祝う最後の日
霊園が花見の場となる春彼岸
朝起きて先ずは腰に手春は未だ
我が腰痛歳時の春にダメを出し
寒暖が行きつ戻りつ春となり
啓蟄の寒さに虫も思案をし
列島の南で黄砂の春だより
春嵐帰り仕度の冬戻し
小雨降るライトの向こうに春霞
立春を久しく過ぎて春気配
薄紙を重ねるように春を積み
目の痒み春の訪れ知らせ来る
街角のワゴンのチョコに春ひとつ
冬物のバーゲンチラシに春見つけ
花びらが川面を覆い残し春
散る花に待てと言いたし寒き夜
舞い踊る花びら連れてドライブ行
ゴミの川桜が覗く富津岬
春雨に桜と撮す入学日
窓外の靄いの雨に春うらら
立春を過ぎて寒風吹き急ぎ

青き空陽のそそぎしも身の寒さ
         春を拾いし梅の一枝


桜咲きまた寒戻り桜咲き
    梅遅れじと追いつ追われつ
お向かいの軒下に咲く藤の花
     春風に舞い我が車庫に踊る
窓越しの春の日差しに騙されて
         冬の残りを玄関に見る
全山を桜に覆われ高遠の
       城跡に立ち幻のごと
騒音の少なき日々の連休に
    向かいの三味の音渡り来る
両岸に桜を並べ隅田川
    水上バスを迎えつ送り
御開帳人波多く前に出ず
   本堂遠く手を合わすなり
樟脳の匂いを解いて内裏雛
      年に一度の逢瀬親しむ
みちのくと言えども季節に急かされて
      葉桜の先夏の入り口
北へ行く新幹線の窓外を
       葉桜ばかり点々と追い
急かされて開花予想に追われつつ
              
      花見はいずこ山へ北へと
五分咲きの開花予報に何となく
           ホッとひと息高遠の春

長丈のコートを短い丈に代え
       弥生の声を耳澄まし待つ
ぽかぽかの陽気に目隠し春の影
                            
冬が少しく隠れん坊する
暖房の部屋から外への二歩三歩
                             
昨日よりまた少し春増し
目鼻には一足早い春便り
      遠き山から花粉と共に
溶け残り凍りついたる黒き雪
                淡き陽射しの春が穿ちぬ
日々ごとに気温上がると天気予報
      春の去りしか梅雨来たりしか
仕事終え疲れを友に運転の
      横を見やれば躑躅の並木
房総の山から見えし東京湾
    
こぼれる桜に遙か霞みて
満開の桜と競いし五重の塔
     東寺の池面に現の二夢
春冷えを伝える日々の天気予報
     それでも忘れず花の若芽よ
暖房の効きし事務所の中よりも
           外の日向に春の一抹
宝船龍の背に乗せ天空へ
      右肩上がりの明日を待つなり


戻る