秋の彼岸のドライブ


秋の彼岸をはさんで、一週間山にこもり、温泉に入りながら初秋の山の景色を楽しみました。
途中の道沿いに、本当に秋の気配を感じさせるコスモスが、道端や、家々に咲き乱れ、山に着くと庭のナナカマドの実が、赤く色づき始めていました。もう少し すると、葉っぱも真っ赤に染まるでしょう。


庭先の道を隔てたところにある、大きなほうの木には、昔真っ白な大きな花が咲いていたところに、真っ赤な実がついていました。
庭には、ルリツバメやキチョウが可憐な姿を見せ、栗が青いイガをつけ、地面には見たこともない蛙がのっそり現れました。
東京とはまったく別な世界です。



翌日は、いつも秋に買いに行く隣の立科町のリンゴ農家を訪ねると、今の時期は「ツガル」が取れているということで、10月にはいると「王林」や「紅玉」 が、11月には本命の「フジ」の収穫が始まるそうです。
リンゴ畑には、真っ赤に色づいた「ツガル」が実っており、付近の田んぼでは、刈り取られた稲がオダにかけられています。
稲のオダ掛けは、もう関東地方では、農家の自家用にしかやらないようで、ほとんど見られませんが、この付近では、どこでもやっているようです。


よく晴れた一日、いつものようにビーナスラインをドライブしました。
今回は、和田峠から八島湿原に登り、美ヶ原を抜けて上田市武石から下ってくる道を使いました。
八島湿原は、半月前よりいっそう秋が深くなり、池を背景に白い花を咲かせていたシシウドも、黒い茎だけの姿ですが、茶色の変わった浮島に漆の 紅葉が目立ちました。
また、ススキも穂が枯れてきて、青空を背景に独特の景観を示し、秋の深まりを感じさせます。




そのような風景の中で、蝶も必死に生きている様子が見えます。
数少なくなった花を求めて、アザミの花に集まるヒョウモンチョウは、翅も破れが目立つウラギンヒョウモンとミドリヒョウモンです。
大きいほうのミドリヒョウモンは、比べてみるとなるほど羽の表面が緑色がかっていて、命名者の観察力の深さに驚かされます。
イチモンジセセリも活発に飛び回っていました。


何気なく葉っぱの間を覗くと、黒と黄色の目立つキアゲハの終令幼虫が潜み、まもなく里へ下るであろうアキアカネが精悍な姿を見せていました。


八島湿原を後にして美ヶ原に向う途中、ふと西側を見ると、きれいな霞がかかった向こうに、北アルプスの山々が広がっています。
真ん中の小さなとがった山は、槍ヶ岳でしょうか。


美ヶ原に着くと、美術館は人影もまばらに、秋の日にひっそりと静まり返り、足元には前回は満開だったマツムシソウが、種をつけてこれからの冬に備えていま す。


今回の帰路は、先日の台風などで、ぶどう峠は道が通行止めとなっており、往復とも十国峠を通りました。
十国峠の展望台に登ってみると、表示板に目の前に見える山々の説明があり、南牧村という地名が目に付きました。
写真の中央の奥のあたりが、南牧村の山々ということです。
やはり台風の大雨で、地区の多くが孤立してしまったというニュースを見たばかりであり、連なる山々を見るとそのようなことが起きても不思議ではない地域で あると思われ、そのようなところにすむご苦労に思いをはせました。


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