庭石については、路地の配置を固めた後、蹲踞の位置を定め、寄付きから腰かけ 待合(濡縁)、蹲踞、躙口への動線を描き、飛び石を含めた全体の概念図を書いて蹲踞と同じく武石村の石屋さんにまかせました。蹲踞は山石だったので、手職石と湯桶石も山石とし、そのほかの乗り石をはじめとする飛び石は 川石をそろえてもらいました。路地口の石と乗り石はそれぞれ数百キロもある立派な石で、茶室仕様ではない床の高い寄付きと茶室にもぴったりのもので、高さ の調節がいらず助かりましたが、最初に置いた場所から少し移動させようとして、一人で太い柱をてこに30cm動かすのにも大汗をかきました。また、乗り石 には川の中で小石と渦によって穿たれた穴がすばらしい景色となっています。
飛び石の配置は、三連打ち等の工夫をする間でもなく、狭い路地で、必要な石を置くとすぐに終 わってしまい、工夫の余地は少なかったのですが、実際に茶事をする場合を考え、亭主と正客の挨拶する場所を、蹲踞と腰掛の間のどの位置にするか、またお互 いの間隔がどのくらいになるか等、実際に何度か置きなおしてみて決めました。このへんは設計図よりも現場合わせが最適な様です。
石の高さについては、根岸氏の教科書の他、日本園芸協会の通信講座「住まいの庭園技能講座」 により、石のシャクリを表に見せない重みのある石のすえ方を勉強し、自然石ならではの愉しみを味わいました。
また、石屋さんがおまけに景石を一つ持ってきてくれたので、石の正面を決めて腰かけの正面に 配置し、周りにリュウノヒゲを植えて格好をつけました。
このように自分で使う路地、茶室ということで、実際に動き回ってみて配置をきめる等、一つ一 つが意味のある配置となり、満足度を倍加してくれたようです。