この茶室を設計する為に、京都を中心に各地の茶室をできるだけ見て回り、自分 の茶室として、何を取り入れることができるか、どのようにアレンジすれば良いか、さんざん悩みました。(実はこれが最も楽しい時期でもありました)その中でもっとも印象に残ったのが、天井の高さでした。躙口から覗き込むと、四畳半であるは ずなのに、六畳以上の大きさがあるように思える茶室が数多くありました。それは、部屋の広さに対して、天井が低いからそのように感じられることはすぐ分か りましたが、それを自分の茶室にどのように反映するか、最後まで決められませんでした。
その大きな理由は、多くの茶室が、京間であり、一畳がかなり広いのに対して、我が家は、母屋 との連係もあり、関東間にせざるを得ないので、平面的にかなり狭くなっています。しかし私自信も176cmあり、平面と比例して高さを縮めると、ただでさ え頭をぶつける機会が多いのに、自分の茶室で思うまま動き回れなくなってしまいます。
やはり自分の茶室ということを優先し、行の天井を210cmとして、それにあわせて垂れ壁を 決め、床の間の落しがけも鴨居の寸法から割り出す方式で、ある程度自動的に定まってきました。このように平面より、高さの寸法が大きい為、躙口から覗き込 んでも、実際よりかなり広いというような感覚は再現できませんでした。
これらの設計の結果出来た茶室については、自分なりに満足の行くものでした。ただ、床の間の 天井の高さは、あまり深く考えずに決めた為、北京で買ってきた山水画の高さを吸収することが出来なかったのは、残念でした。
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