春の津金寺


春の大型連休を控え、布団を日光に当てて家族の週後に備えるため、いつもより早く学者村にやってくると、ここは東京の1か月分の春が一度に来たように、梅、桃、桜、こぶしに始まってあらゆる花が一時に咲いていました。
中仙道の松並木を笠取峠から下ってきて、山部の交差点を通りかかると、「カタクリ・野草祭り」の看板があり、それにつられて左折しました。この道は五輪久保にりんごを買いに行く道で、秋にはよく通りますが、春にはあまり通らない道です。
この道には、わらぶきの大きな門のあるお寺があることは知っていましたが、それが由緒あるお寺で、その境内にカタクリをはじめ多くの野草が咲くことをはじめて知りました。
20年学者村に通っていても、短期間しかいないため、足元のことも知らないことが多いのを改めて思い知らされました。

このお寺は702年に行基によって開かれ、最澄、円仁により、学僧育成の寺として天台談義所が設けられたということです。
いつも見慣れたわらぶきの門は、仁王門で、今は桜に囲まれています。
門の両側には、仁王様が並び、その前には長いわらじが数多く供えられています。




中に入ると正面の観音堂(本堂)に向かって、竜王池を渡る「かんのんばし」が桜の花に埋もれていました。
橋を渡って振り返ると、右手に樹齢900年の杉、左に桜、正面に仁王松を前に仁王門が雨に曇っています。


本堂の観音堂と並んだ阿弥陀堂では、ちょうど葬儀が行われていたので、観光客は遠慮して遠くから拝観するだけです。


観音堂の右手には、山の斜面とその下にいくつかの池が並び、多くの山野草が咲き乱れていました。
池には水車のミニチュアや、虹鱒の白子、あるいは立ち枯れて、まだ春の兆しが見えない蓮などもありますが、ほとんどは春をおおかするあでやかな花が咲き乱れ、心を和ませてくれます。
わさびの白い花の下に泳ぐ魚は、ヒゴイかと思いましたが、よく見るとニジマスそのものであり、白子のようです。
茶花にも使うヒトリシズカは、その名前にはふさわしくないような群生をしています。




まだ春の兆しの見えないハス               一株だけのミズバショウ


一人には見えない群生するヒトリシズカ                      イカリソウ


白い花のトキワイカリソウ                           クリンソウ

 目玉のカタクリは、少し時期が過ぎたようですが、斜面いっぱい咲き誇っています。


昨年の春、数多く乱舞していたあのウスバアゲハ(ウスバシロチョウ)の食草であるムラサキケマンも、紫の花をいっぱい咲かせており、もしかしたらウスバアゲハの幼虫がいるのではないかと目を皿のようにして探しましたが、残念ながら発見できませんでした。幼虫はもうかなり大きくなり、蛹になっているかもしれません。


ウスバアゲハの食草のムラサキケマン                        ニリンソウ


雨で下を向いているアズマイチゲ                      ヤマエンゴサク


シラネアオイ                               レンギョウ


モクレン


津金寺は、秋には萩もきれいに咲くようなので、またりんごの季節にはぜひ寄ってみたいと思います。


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