最近呑んだ吟醸酒について
2003年7−9月分
これからの話は消費者(飲み手)という立場で書いていきます。評論家や蔵元、酒屋の立場では見ていません。また、音楽とか味覚とかいう物は大変抽象的で表現が難しいのですが、平易に書きたいと思います。 よく、食べ物店の紹介記事で絶賛している物を食べると、首を傾げたくなる時が多々ありますし、テレビでリポーターが口に入れたとたん「うまい」と発言しているウソ等はここでは、しないように心がけています。
◆月に一度の例会とイレギラーで飲んだ吟醸酒について、ズバリ、どういう酒か皆様への判断基準を書きます。
A;味、B;香り、C;コストパフォーマンス、D;総合評価を、各5点評価(5;最上 4;良 3;まあまあ 2;まだまだ 1;評価外)で表します。 総合評価3−(マイナス)以下ではもう一度買うかと言えば、考えてしまうレベル。2ではタダで贈られても困ってしまうレベル。
私の独断と偏見なしで評価し、E;寸評も入れます。なお、会での評価も、判断基準の参考にしています。また、評価はこの日に飲んだ吟醸酒の味で、次回も酒の性格上、ロットや時間が変れば同じとは言切れませんが、傾向としては、間違ってはいないと思います。
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◇イイお酒を、イイ友と、イイ肴と、イイ会話で月1回楽しむ会です。◇
2003年9月27日(土)
1.太陽酒造(兵庫県明石市) 純米 「赤石泊」 生原酒
原料米;山田錦 精米歩合;−% 【アルコール分】17〜18度 1.8L @2,500 (税別)
A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス3+、D;総合評価4
E寸評;酒色は琥珀色に染まり、一夏を越えてきた苦労がにじみ出ています。梅酒に似た酸味と古酒の味わいを見せ始めています。
2.小野酒造店(長野県辰野町) 吟醸 「夜明け前」 厳寒仕込
原料米;− 精米歩合;−% 【アルコール分】15〜16度 1.8L @3,447 (税別)
A;味4、B;香り3+、C;コストパフォーマンス4、D;総合評価4
E寸評;五味のバランスはとれていますが、深みがありません。香りも控えめ、さらりとした口当たりが、肴を殺しませんし、飲み疲れしません。
3.磯自慢酒造(静岡県焼津市) 特別純米 「磯自慢 雄町55」
原料米;雄町 精米歩合;55% 【アルコール分】15〜16度 【日本酒度】+4〜+5 【酸度】1.25 【使用酵母】New-5(静岡)自社培養酵母 1.8L @3,375 (税別)
A;味5、B;香り4、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評;五味のバランスが取れていて、奥行きもあります。雄町のまろやかさより山田錦に近い味わいを見せています。品性高く安心して付き合える佳酒。
4.月の輪酒造店(岩手県柴波町) 大吟醸 「月の輪」
原料米;山田錦 精米歩合;40% 【アルコール分】16〜17度 【日本酒度】+3〜+5 1.8L @5,000 (税別)
A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス3+、D;総合評価4
E寸評;派手なラベルが目を引きます。味のバランスは見事なものですが、金属を舐めたときのような刺激があります。仕込み水の影響でしょうか? どうしても飲み疲れします。杯が進みません。
5.瀧自慢酒造(三重県名張市) 純米大吟醸 「瀧自慢 銀ラベル」 斗瓶取 本生
原料米;山田錦 精米歩合;45% 【アルコール分】16〜17度 【日本酒度】+3 【酸度】1.5 【使用酵母】自社培養酵母 1.8L @4,200 (税別)
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評;山田錦の旨さが全て酒の中に凝縮されています。袋吊りですから香りが希薄かといえば、しっかりと過不足なく付いています。味もバランスよく充分厚みもあって、濃厚さがでてきています。食後に一杯やったら、至福の時を過ごすことができるでしょう。
2003年8月30日(土)
1.酒田酒造(山形県酒田市) 特別純米 「上喜元 玉栄」
原料米;玉栄 精米歩合;55% 【アルコール分】16〜17度 【使用酵母】金沢酵母 1.8L @2,500 (税別)
A;味5、B;香り4+、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4+
E寸評; いろいろお客様のご感想を聞いていると、面白い事が分かりました。関西圏のお客様はだいたい気に入って、とても好評な方が多く、関東圏のお客様には不人気な場合が多かったようです、詳しくお聞きするとどうも酸味の好き嫌いで、意見が分かれるようで、この辺りは食文化の差なのかとも思いました。 当の山形ではどういう評価なのか気になりました。(酒販店談)味のバランスは大変良く出来ていて、五味がバランスしています。決して酸味が突出しているような事はありません。値段からしても、この価格で良くこれだけの品質が醸し出されるのか不思議なくらい、上質な吟醸酒です。晩酌酒にしてはもったいない。
2.浜福鶴銘醸(神戸市東灘区) 純米吟醸 「空蔵 山田錦 14BY」 生詰
原料米;山田錦 精米歩合;60% 【アルコール分】17度 【日本酒度】+3 【酸度】1.3 1.8L @2,800 (税別)
A;味5、B;香り4+、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価4+
E寸評; この価格帯からすれば、「上喜元」同様、最高のコストパフォーマンスを実現しています。この蔵独特のイヤミのない酸味としっかりとした奥深い味のバランスは何時呑んでも裏切られる事はない。数少ない安心して飲める佳酒。
14BYとは税務関係の酒造年度で平成14年に造られた、と言う事です。早い話今年の冬に造られたと言う事です。
3.瀬頭酒造(佐賀県塩田町) 純米 「慶紋 東長(あずまちょう)」
原料米;山田錦+佐賀の華 精米歩合;−% 【アルコール分】15〜16度 720ml 差し入れ
A;味4、B;香り4、C;コストパフォーマンス差し入れ、D;総合評価4
E寸評; インターネット販売はされていませんが、この酒販店で一倍売れるお酒だそうです。ではでは、精米歩合の低さからヌカ臭が若干感じられます。香りは少な目、押さえ気味。ですから、普通酒と吟醸酒の間にあるお酒と表現すれば良いでしょうか。価格が分からないのですが、1.8Lで二千位かも知れません。だとしたら、スゴイ酒だと思います。どんな料理にも合いますし、料理を下に見るような事もありません。ましてや厚化粧の酒よりもスッピンで味わえる、この「東長」は気遣い無しの手慣れた女房です。適度の味わいの濃度と柔らかい吟醸香がただよい、普通酒にある品の無さはありません。
2,500円を超えたら、上記「上喜元」、「空蔵」の方が、”キレ”、”品位”共にランクは上でしょう。
4.銀盤酒造(富山県黒部市) 純米大吟醸 「播州 銀盤50」
原料米;山田錦 精米歩合;50% 【アルコール分】15〜16度 【日本酒度】+5 【酸度】1.2 1.8L @2,492 (税別)
A;味4、B;香り3+、C;コストパフォーマンス4+、D;総合評価4
E寸評; 友人とワイワイ言いながら、過日呑んでいますが、旨い酒だな〜、と思って今回の仲間入りですが、他の酒たちが凄すぎて、2軍のエースには少し肩身が狭そうです。味も香りもバランスしていますが、シャバシャバ感から逃げられません。大分加水されて何もかも薄まってしまったのでしょうか。飲み屋で出されたら、最高かも・・・しれませんが。
5.雑賀(さいか)豊太郎商店(和歌山市) 大吟醸 「特吟 雑賀」 生詰
原料米;− 精米歩合;−% 【アルコール分】16〜17度 1.8L @3,500 (税別)
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評; 米の旨みが充分に酒の中にしみ出しています。バランスした濃い味わいと、何時までも口中に酒の旨みが残ります。キレの良さと品の良い吟醸香が飲み手を唸らせます。
6.新澤醸造店(宮城県三本木町) 純米大吟醸 「伯楽星(はくらくせい)」 生詰
原料米;雄町 精米歩合;−% 【アルコール分】16〜17度 1.8L @4,900 (税別)
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評; 何を今更言わなければならないのでしょうか。ただただ、酒の神と杜氏さんに感謝の意を表して、もう一献。老剣士の如く気負いも殺気もありません、只そこにあるだけです。
味わいきつくなく弱くなく、濃すぎず薄すぎず、香り高からず低からず、五味方向のバランスはもちろん、芳醇度、濃度、品性のレベルも整っています。
2003年7月26日(土)
1.麓井(ふもとい)酒造(山形県庄内八幡町) 麓井吟醸 「輝ら星の如く」 生原酒
原料米;山田錦、 精米歩合;50% 【アルコール分】17〜18度 【日本酒度】+4〜6 【酸度】1.4 1.8L \3,075 (税込)
A;味2、B;香り2、C;コストパフォーマンス2、D;総合評価2
E寸評; 薄〜く白濁しています。オリが混じっていますし、瓶詰めされてからの時間が大分経過しています。出荷されてから味の劣化が始まり、既にコケ始めています。品性は当然有りませんし、不快な香りと味が出始めています。お酒は生ものという事が良く分かりますが、このテーブルに出てくるとは信じられませんでした。
2.神沢川酒造(静岡県由比町) 純米吟醸 「正雪 吟ぎんが」 生酒
原料米;岩手県産吟ぎんが 精米歩合;50% 【アルコール分】16〜17度 【日本酒度】+4 【酸度】1.4 1.8L \3,150 (税込)
A;味2、B;香り2、C;コストパフォーマンス2、D;総合評価2
E寸評; このお酒も上記「きら星の如く」と同じように白濁して腰が抜けています。3月瓶詰めの記録があります。そんなに早くコケるのでしょうか。
でないとすると、原料米・岩手県産”吟ぎんが”の扱いにまだ練れていないのでしょうか。正雪は静岡を代表する銘酒蔵です。正雪のラベルを信じて購入しています。これが正雪でも認めて出荷されたのでしたら、今後正雪を信じる事が出来なくなります。原因は流通業者にあるのか、蔵元にあるのかわかりませんが、消費者を裏切ってはいけません。
3.米鶴酒造(山形県高畠町) 無濾過純米吟醸 「うきたむ」
原料米;雄町 精米歩合;−% 【アルコール分】17度 1.8L \3,675 (税込)
A;味3+、B;香り4、C;コストパフォーマンス3+、D;総合評価3+
E寸評; 雄町の濃厚さと奥行きが有りません。シャバシャバではありませんが、サラリとして酸味がキツク感じられます。この酸味も何時までも口中にからみついて離れません。このお酒も造られてから、約1年半経過していますが、古さを感じさせません。
4.墨廼江酒造(宮城県石巻市) 純米大吟醸 「谷風」
原料米;山田錦(麹米)・蔵の華(掛米) 精米歩合;40% 【アルコール分】16〜17度 1.8L 5,250 円(税込)
A;味5、B;香り5、C;コストパフォーマンス5、D;総合評価5
E寸評; ここの蔵元のお酒は美人揃いですが、この長女の出来はずば抜けています。これぞ大吟醸という風情を感じさせます。純米の欠点もなく、風格と品性が抜群に優れています。一口含むと、まさに甘露の味と至福の時を楽しませてくれます。
「劣化した酒の原因と状況」
麓井吟醸 「輝ら星の如く」 生原酒、純米吟醸 「正雪 吟ぎんが」 生酒、の二本が劣化して飲める状況にありませんでした。
この件について、私のホームページ「掲示板」に書き込みがあり、原因と思われる事について、プロからの指摘が掲載されています。
二つ目、麓井(ふもとい)酒造様、神沢川酒造様から飲まれた酒についての、問い合わせのメールが届いています。
三つ目、酒販店の対応に付いて。
以上の考察を載せます。クリックして頂くとそのページが開きます。
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