<開かずの踏切が、もっと開かなくなったってほんと?>
残念ながら、それは本当。仮設線路のために踏切を渡る距離が長くなったことが全ての発端である。列車の本数が多いラッシュ時間帯に人や車が安全に渡りきれるよう時間を確保したために、早めに踏切が閉じるように設定されたからである。
この結果、ただでさえ開かない踏切がもっと開かなくなってしまったのである。
<踏切の長さって何?>
長さといっても幅員のほうではなく、遮断機間の長さ(踏切長)である。言葉でいうよりは表にして説明したほうが早いので、下表を参考されたい。2ページ目の配線図とともに見ていただけると、判りやすいと思う。
また、全ての踏切のデータが無いので、ここでは一部省略することをご了承いただきたい。
踏切が閉じている時間について、遮断時間とはピーク時1時間あたりの警報(遮断)時間のことである。
踏切名 距離(m) 遮断時間(分) 工事前 工事後 工事前 工事後 三 鷹 新道北 10.0 - 59 60 五宿 10.0 - 55 59 武 蔵 境 天文台 - - 57 58 境西 - - 57 58 山中 23.0 31.0 55 59 西原 9.8 18.5 58 59 梶野新田 - - 55 59 東 小 金 井 東町 12.3 27.6 57 58 中町 - - 54 56 緑町 10.0 14.9 54 56 小金井街道 17.0 35.7 55 59 武 蔵 小 金 井 本町 14.5 35.0 55 56 弁天町 - - 39 46 国 分 寺
新道北踏切に関しては、1時間あたり全く遮断機が上がらない状況である。
ここで、人の歩く速度を毎分80mとして計算してみよう。小金井街道踏切に関して単純計算をしてみると、渡り終えるのに約27秒かかる。そして、一時間中に踏切が開いている時間が約1分。さらに踏切で30分待たされると仮定して簡単な計算を行うと、こんな結果が出る。
「一回に開いている踏切の時間は、最大約30秒」
この数値だけ見ると無事に渡れる気がするが、実際には双方向からの人、自転車、車のためにスムーズに渡ることはできない。しかも必ず30秒開いているという保障はない。そうなると、普通に渡りきれるわけが無く、踏切に取り残されるケースが増えてしまうのだ。
<迂回路はどうなってるの?>
残念ながら皆無に等しい。工事区間内の迂回路は下表を参照のこと。中でも、こ線橋に関しては駅構内を含めて5ヶ所あるが、どれも架線の高さ以上のところを越えるために、階段の段数はとんでもないものになる。これでは年配の方には辛いとしかいいようがない。
名称 分類 車 自転車 人 三 鷹 三鷹通り 地下道 ○ ○ ○ 堀合架道橋 地下道 × ○ ○ 三鷹こ線人道橋 こ線橋 × × ○ 本村人道地下道 地下道 × ○ ○ 武 蔵 境 武蔵境駅自由通路 こ線橋 × × ○ 東 小 金 井 東小金井駅自由通路 こ線橋 × × ○ (名称無し) こ線橋 × × ○ 武 蔵 小 金 井 (名称無し) こ線橋 × × ○ 新小金井街道 地下道 ○ ○ ○ 第一府中街道 地下道 ○ ○ ○ 国 分 寺
<今後の対策は?>
地元の人の要請を受ける形となり、混雑の激しい踏切に仮設の歩道橋を設けることが決定した。しかし線路を跨ぐ形となるために容易にはいかず(夜間制限、架線等の設備を避けるため)、竣工までには1ヵ月ほど時間がかかるとのこと。最初から仮設でも設置することを念頭にいれて工事していけば済む問題だったのだが、手を抜いていたことが明るみになった。年配の方、自転車の通行をより考慮すれば、仮設の迂回路は地下道にするのが最もであると思われるが、仮設のために地面を掘ること、予算がかかりすぎるといった問題面を考えると歩道橋のほうが建設費が安く済むため、これはこれでしかたのないことかもしれない。
改善箇所 改善内容 状況 本村人道地下道 通行の円滑化(柵の撤去) 五宿踏切 踏切の歩道幅員の拡幅 改善済 西原踏切 仮設こ線橋の設置 東小金井駅自由通路 自転車対応エレベータの増設 緑町踏切 仮設こ線橋の設置 踏切の歩道幅員の拡幅 改善済 武蔵小金井駅構内通路 高齢者に構内通路を開放 改善済
私鉄方式の建設にせず、上下線を一度に建設したことが、今回の問題の発端となっているようである。
コストを抑えて事業を行いたいというのもわかるが、今回の場合は道路事情をよく考えたら私鉄方式のほうが得策であったということがわかる。
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