【カサンドラ・クロス】
製作年 1976年、米
監督  ジョルジ・パン・コストマス
出演  バート・ランカスター → 大列車作戦 大空港
     ソフィア・ローレン
     リチャード・ハリス  → ジャガー・ノート
【あらすじ】
 ジュネーブにあるIHO(国際保健機構)のアメリカが管轄するセクションがテロに襲われ、テロリストの一人が生物兵器の細菌に感染したまま逃走した。米陸軍情報部のマッケンジー大佐(バート・ランカスター)は、彼らの所持品から逃げた男はストックホルム行きのヨーロッパ国際列車に乗り込んだものと見て、乗客である著名な医師チェンバレン(リチャード・ハリス)に無線で該当者を捜してくれるように依頼した。列車はニュールンベルグで防疫処置を受けると、ポーランドの隔離収容所に向かって動き出した。その間にも乗客に感染者が増え始め、たまたま乗り合わせていたチェンバレンの先妻ジェニファー(ソフィア・ローレン)も患者の手当を手伝った。
 チェンバレンはユダヤ系セールスマンのカプランから、隔離収容所に行くには”カサンドラ・クロス”という鉄橋を渡らなければならないが、何年も使われておらずとてもこの列車は通れないと聞かされる。チェンバレンは列車を停止するようマッケンジー大佐に訴えるが黙殺される。そうするうちに、高濃度酸素の影響で感染者の容態が快方に向かい始める。チェンバレンは乗り込んでいる警備兵に列車を停止するよう迫るが、命令に従順な彼らは取り合ってくれない。
 チェンバレンら乗客は実力で列車を停止することを決めるが、警備兵との間で銃撃戦になってしまう。カプランが捨て身で連結器を爆破したため、列車の切り離しに成功したが、先頭の数両は橋と共に川に転落してしまう。
【解説】
 70年代に入ると「ポセイドンアドベンチャー」「エアポート75」(74年)などオールスターキャストの乗り物系パニック映画がよく製作されたのだが、本作品もそのうちの一本である。
 プロデューサーはソフィア・ローレンの夫でもあるイタリア人のカルロ・ポンティで、スタッフもイタリア系の人が多く参加している。そういうこともあり、国際保健機構のセットや列車の内部などはローマにあるチネチッタ撮影所に作られ、そこで撮影されている。イタリアを代表するこの撮影所で撮影されたハリウッド映画は多く、昔の映画では「ベンハー」(59年)、「クレオパトラ」(63年)などがあり、最近でも「U−571」(2000年)、「ギャング・オブ・ニューヨーク」(2002年)などが製作されいる。また、今では考えられないが、当時アメリカと関係が良好だったイランでもロケ撮影がおこなわれている。
 多くの著名なスターが出演しているが、カプラン役のリー・ストラスバーグは俳優としてより、演劇学校”ニューヨーク・アクターズ・スタジオ”の主宰者としての方が名前が知られている。この学校は、モスクワ芸術座の舞台監督スタニスラフスキーによって考案された演技テクニック「メソッド演技」を教えるために、1947年にエリア・カザン監督らと共に創設された。ここの出身者には、マーロン・ブランド、ジェームズ・ディーン、マリリン・モンロー、スティーブ・マックーイン、アル・パチーノなどがおり、彼ら出身者抜きにして戦後のハリウッド映画は語れないほど多くのスターを輩出している。また、潜入捜査官役にあのO・J・シンプソンが出演しているが、このころは元NFLの花形スターだった経歴を生かし、正義感の役柄が多く、後にあれほどの大スキャンダルを起こすとは思えない自己犠牲的役柄を演じている。

【ドイツの鉄道】
 1835年にルートヴィッヒ鉄道がニュールンベルク〜フュルト間8qにロバート・スチーブンソン社の蒸気機関車を走らせたのが始まりである。開業こそイギリス製の機関車をつかったものの、その後は独自の機関車を開発していき、1891年シュミットにより過熱管(発生した蒸気を再び燃焼ガスで加熱する)が発明されると、それ以後世界中の機関車に使われるようになった。また、ディーゼルによりディーゼル発動機が、ジーメンスにより電気機関車が発明されるなどドイツが鉄道の発達においてはたした役割は大きい。ドイツは他の国と違い私鉄があまりなく1920年に誕生したドイツ国有鉄道(DR)がほとんどの路線を保有していたが、第二次大戦後は国が東西に分割されたため、
西側の国鉄はドイツ連邦鉄道(DB)と名乗るようになった。ドイツ統一がなると、二つの国鉄は合併したのち民営化されドイツ鉄道株式会社(DBAG)として新発足した。ドイツが誇る高速列車ICEはすでに第3代世代になっており、最高時速は330qと世界一である。