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母系社会研究会
現代的母系社会のビジョン研究サークル
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           暫定的理想社会としての母系社会
私達の創る母系社会の構想は、あくまでも暫定的なものであり、常に見直す必要があります。なぜならば、このビジョンは構想された時点での理想でしかなく、その後の変化を私達は、あらかじめ予測し得ないからです。

暫定的なビジョンが出来た後も、あるいは母系社会が実現した後でも、人々は常に修正すべき問題がないか検討し、よりよい社会の構想に努め母系社会よりもさらによい社会の実現を目指すでしょう。母系社会という理念より現実の人間の方がはるかに大切だからです。

ただし私達が生きている間に母系社会が出来るかどうかわかりませんので、母系社会自体の実際的な問題は、将来の世代の課題になるかもしれません。私達は私達の時代の問題しか、課題にし得ないからです。
                 国際的な構想の必要性
経済より家族を重視する母系社会は現在の社会と比べると明らかに、経済の効率性が低下しますので、本格的な母系社会は今のような激しい経済競争を展開している世界では存続できないでしょう。ですから日本国内はもちろん、世界レベル、すくなくとも日本と国際的な分業関係を築いている国々の内部で、経済競争を抑制し緩和するための協調的な分業体制の構築が必要になります。

そのためには、国際的協議機関を設立し、共存的な世界的分業体制の構築のためのプランの作成と実行がなされなければなりません。しかしこうした体制が本格的に形成されるためには、まず世界的な安全保障体制の構築が必要となります。というのはこのような安全保障体制がないと、各国は出来るだけ自前で最新の軍事力を構築しようとするため、多くの国が最先端の産業社会を、フルラインの工業化を目指すようになり、各産業は過当競争にならざるを得ないからです。

この世界的分業体制は、同時に現在の世界のような不均衡な経済発展を是正する事も、その目的として意識的に追求しなければなりません。現在の世界経済の不均衡な発展情況を固定するような競争の抑止がなされると、職を求める人々が国境を超えて移動し、故郷の家族関係から離脱せざるを得ない情況は変わらず、核家族化に歯止めがかからないからです。

このような経済競争の抑止は環境問題からも、地球資源の浪費や乱獲、ゴミ問題などの環境汚染の問題として課題となっています。今のような環境破壊的な世界分業体制でなく、資源循環型の経済、すみわけ型の共存的な世界の分業経済体制が母系社会と環境問題の解決のために必要です。

経済競争を生み出す原因は市場経済にありますが、経済的合理性を保持した高度の分業経済を維持し得る他の方法が可能になるまでは、市場経済をある程度残さざるを得ないでしょう。ですから、国内でも過度の競合関係を生み出さないようにする経済政策で、少しずつ市場での経済競争のレベルを下げてゆかなければなりません。

このように日本の母系社会が存続可能となるためには、国際的な安全保障体制の構築と国際的な経済競争の抑制政策が必要です。しかしこれは、大変困難な課題ですが、現在の世界には、単に平和だけでなく経済発展による物質的な豊かさよりも、精神的豊かさを求める人々が増えているのも事実です。

このような精神的な豊かさを求める人々や環境問題から激しい経済競争に反対する人々とも提携して、経済活動を厳しく規制し経済競争を緩和させるよう、世界に働きかけるべきでしょう。もちろん、どの程度競争を低下させるかが問題ですが、世界が何らかの理由で経済の効率性を大幅に低下させれば、経済的に日本の母系社会が成立する可能性が生まれます。

当面の目標は、日本の一部分だけでも母系社会化する事ですが、その場合でも、ある程度理想的な母系社会を創設するには、国内外の経済競争の緩和が必要で、この緩和が実現できるまでは、母系社会の産品を優先的に購入するなどの方法で母系社会を経済的に支援する強力な組織が必要となるでしょう。いずれにしても将来、母系社会を目指す人々がでてくるとしたら、その人々は常に世界的な視野で活動すべきだと思います。
           現代的母系社会の経済システム 
母系社会には様々なタイプがありますが、いずれにせよ私達は現存する世界の多くの母系社会のような農漁業中心の母系社会でなく、出来るだけ現代的な母系社会を目指すべきでしょう。これまで人類が支払った労苦と犠牲を無駄にしてはならないと思います。ですから、科学技術の安全性や、エコロジ−を研究する科学者も大量に育成し、環境破壊を防ぎつつ現代的な母系社会を建設しなければならないでしょう。

ある意味で、母系社会の最大の敵とも言えるのが市場経済ですが、現代的母系社会の経済的合理性を維持する為には厳しい制限を加えつつも、他の経済システムが使用可能になるまでは、このシステムを使わざるを得ないと思います。この制限は経済競争を抑制する為だけでなく、母系社会の連帯性を維持し共生的社会を構築する為にも必要です。

ですから、労働時間の実質的制限、夜間労働の禁止などは勿論、最終的には商品原価の公表までル−ル化し、全ての企業体の財務内容を完全に透明化しなければならないでしょう。その為には貨幣の電子マネ−化により、全ての商取引をコンピュタ−管理にすれば企業活動の透明性が確保され、企業体を少しでも非営利のNPOに近い存在にできるのではないでしょうか。

また特許権もまず安全性や資源の有効活用、生態系への影響など社会全体の利益に本当になる技術かなど厳しく審査をしなければなりません。さらに現在のようにそれを開発した企業や個人に独占的な使用権を認めるのではなく、希望する他企業へ有償での供与を義務づけて、極力全ての企業が生き残れる共存的な経済を目指し、その特許の使用料も今よりも大幅に安くすべきです。なぜならば、その特許の開発に使われた技術知識のほとんどは、人類の先人達から無償で現在の人類全体に贈られた技術知識が使われていて、それは人類全体の共有財産だからです。その代わり、公的研究機関が開発した技術知識を全企業へ無償で公開し、研究の援助をすればよいのです。

現在の世界中の市場経済国家でなんらかの経済計画、経済政策を持たない国はありませんし、「先進国」はG7などで国際的な経済政策の調整までしています。アメリカでさえ、彼らの経済理念からすれば銀行も民間企業ですから市場の論理にまかせるべきなのに、倒産しそうな銀行を政府が税金を投入して一時的にであれ国有化してまで、助けています。

これは、現在の競争的市場経済も外部からの制御が必要で、自律的な経済ではない証明です。ですから、経済効率が低い母系家族経営の企業が、存続できる市場経済が必要な母系社会では今以上に精密な経済計画が必要です。ですから様々なレベルで様々な経済活動を調整する協議会を設立して、地球資源の浪費を防ぐ為にも日本社会全体、世界全体の経済活動を制御し、出来るだけゆるやかな競争の市場経済にしてゆく必要があります。

母系社会では女性の経済的自立や子育てを優先しつつ、仕事ができる環境が必要です。ですから一つの母系家族は同居して、そこから楽に通える範囲にその一族が共同経営する仕事場がなければなりません。このような一族経営の企業体があれば、木目細かな家族の配慮のもとで仕事と育児の両立が可能になり母親だけでなく、一族の高齢者も望むならある程度、働けるようになるでしょう。

また、このような母系家族経営の小企業だけでなく、電力や自動車などを生産する大企業も必要ですので、母系家族の何人かは、そうした大企業に勤めたり、逆に医者や弁護士のような個人経営体で働く人もいるでしょう。このような大企業は、今のような常に拡大しようとする株式会社型の企業ではなく、協同組合的な企業が望ましいでしょう。こうしたタイプの大規模な協同組合型の企業ならば、そこで働く全ての人々が資本を出資しているので経営に参加でき、現在のように会社から一方的にリストラされたりする事のない企業となると思います。

また母系家族経営の小企業は、経営情報や融資などの支援を受けられる環境が必要です。と言うのは、あまり競争が激しくない市場経済を実現するには、万一「倒産」した場合でも、再起不能な状態にならず再建のための支援が十分に受けられる体制が必要だからです。

その為には、一つのプランとして大規模ないくつかの協同組合企業を中核として、様々な業種からなる巨大な全国的企業グル−プを複数設立し、これらのどれかに母系家族経営の小企業が所属してそのグル−プから支援をうける企業形態、経済体制が考えられます。これらのグル−プの代表は、様々な地域的な経済協議会のつくる地域的経済計画だけでなくそれを集約した全国レベルでの経済計画の協議会にも参加します。そして各種の公的な経済機関の代表とともに、全体の経済計画を調整し、激しい経済競争を防ぐと共に限定された範囲内でのゆるやかな競争により、この経済計画が実行できるよう協力します。

ですからこうした会議で得た経済計画の情報や独自に収集した情報をもとに、グループの活動を調整する各地の機関が指導して、所属する金融業も含む様々な業種の協同組合型企業に、経営不振になった所属母系家族企業に対する業種転換や金融、経営指導などの支援をさせれば、競争の緩和に役立つでしょう。

ところでこの協同組合ですが、日本にも様々な協同組合がすでにありますが、アメリカでは総労働者数の8%、ドイツでは10万人、世界では約10億人が既に協同組合で働いているそうです。スペインには、このような協同組合企業からなる大規模な地域経済体がすでにあります。そこでは銀行から、技術研究所、海外でのプラント建設まで手がけるスペイン最大の家電メ−カ−まであるそうなので、母系社会経済の構築のよい手本となるでしょう。

また今話題の地域通貨も大規模に導入すれば、貨幣の機能の一部をこうした地域通貨に移行させられるので、貨幣の獲得競争でもある経済的競争の緩和に役立つとともに、母系家族同士の協力関係の構築や地域社会の再建にも役立つと思います。また母系家族でも様々な事情をかかえた母系家族があるでしょうから、NPOなどの組織も最大限、活躍しうる体制が整備されるべきでしょう。

          現代的母系社会の政治システム
私達の構想する母系社会は当然政治的には民主主義ですが、現在のような形式的民主主義でなく、人々にとって最も身近で切実な職場も民主的に運営される社会になるでしょう。母系家族による小企業から協同組合的大企業、また各企業の連合体まで、全てそこで実際に働く人々の意思で企業が運営されるように全ての構成員による協議、もしくは選挙で企業の指導部を選出し、重要な問題は全員による投票により決定する制度を導入するべきだと思います。

現在の政治に大きな影響力のあるテレビや新聞などのマスメディアは、客観中立を標榜していますが、実際は大株主の意思の許容範囲内の報道しかできず、実質的には彼らの競争的自由主義市場経済とういう政治思想に反した意見が広まらないように世論を誘導し、このような体制に都合のいい世論をつくり出す装置です。

例えば、マスメディアはどの専門家にコメントさせれば、どのような意見を言うか、あらかじめ知っているので、番組に出す専門家の選択をとうして、客観中立を装おいながら世論操作をしているので、マスメディアのおこなう報道の傾向と世論調査の結果はほとんどいつも一致します。マスメディアが実施する世論調査は、マスメディア自身のこの世論操作活動の成果テストのようなものです。

マスメディアも、影響力の大きなTV局や全国紙は一種の権力機関として、国民の選挙により選出された人々により運営されるべきで、他は一般の企業と同じく、そこで実際に働く全従業員の選挙により選出された指導部により運営されるべきです。

母系社会も現在と同じ議会制政党政治がおこなわれるでしょう。もちろん母系社会でも参政権は男性にもあり、政府の長が男性の場合も当然あります。既に日本が50%以上、母系社会化していれば、議会は母系社会に好意的な政党が多数派であるはずでが、このような段階でも家族制度は強制すべき問題ではないので、母系と父系の両者が共存できる法体系の構築が求められます。また母系社会を支持する政党、政府でも、腐敗する可能性はあるので、政府や議会の議員は、いつでも投票によりリコールできる制度が必要です。

全国が母系社会化しても、政党はおそらく主に経済政策の問題をめぐって複数形成されるでしょう。この経済政策の問題とは最終的に母系社会は市場経済を、つまり経済競争をどの程度抑制するかという問題で、市場経済を極力縮小すべきという政党から、環境問題をクリアしていれば、極力自由な経済活動を認めるべきと主張する政党まで様々な政党ができると思います。

男性の役割や母系社会の結婚制度、財産の相続権のような民事関係の問題では現実の社会の方が先行し、議会は基本的に既に行われている母系社会の慣習、ル−ルを立法化する役割となり、政治が現実の母系社会や母系家族に介入するのは重大な人権問題などに限定すべきでしょう。

母系社会化は、主に民間のNPOによる母系社会の宣伝、広報運動や実験的な母系社会を実際に建設するグループなどにより担われるでしょう。家族のような「民事の問題」には政治が強制的に介入すべきではないので、母系社会主義の政党はつくらず、既存の政党の中から母系社会の理念に理解のある政党と協力関係をつくる方がよいと思います。

また母系社会は、地域毎に様々な特色のある母系社会となるのではないでしょうか。様々なタイプの母系社会の中から、どのような母系社会をつくるかは、それを実際に担う人々が決めるべき問題だからです。

また日本の母系社会は、現在の父系核家族や父系大家族を支持する人々とかなり長い間、共存する事になるでしょう。この父系社会派の人々には、あくまで広報や討論により母系社会化を促すべきで、法律などで強制すべきではありません。母系社会は母系社会を理解し、自発的に移行しようとする人々、家族にしか建設できないのですから。

地域的母系社会の自治体は住民投票制を大幅に導入して主要な問題は住民が直接投票で決定し、自治体の首長や議員はできれば輪番制で担われるのがよいと思います。しかし初期の母系社会で、まだ様々な共通の価値観やル−ル、常識が形成されない間は今と同じように選挙により選出されるでしょう。

というのは母系家族の内何人かは、一族とは別の場所で、個人として大型の協同組合企業に勤める人々や弁護士や医者などの個人的な業務をする人々もいるはずです。このような母系社会に理解のある母系家族出身の核家族の人々も地域的母系共同体のメンバーになるはずなので、このような人々の利益代表も地域の共同体議会に選出されなければならないからです。

父系大家族からなる地域社会の再建をと言う意見もありますので、独断的でない父親像の父系大家族制を支持する人々も今後増えてゆくでしょう。私達は日本中が母系社会になることを希望しますが、母系社会を希望する人々が、母系社会で生活できる環境を整えるのが私達の本来の目的です。

ですから、「やさしい」父系大家族制も母系大家族制と同じく、あまり競争的でない共生的な市場経済制度が実現しなければ存続できないので、私達は同じ大家族制の支持者としてともに、共生的市場経済の実現に取り組まなければならないでしょう。

父系大家族制とも経済的には共存可能ですから、日本の一部にでも母系社会が実現できるなら、そのような父系大家族社会と私達の母系社会は共存し得るのではないかと考えています。ですから母系社会の自治体には、このような父系大家族、あるいは現在の父系核家族の住民も居住するでしょうから、かれらの利益代表も自治体の議会に選出されなければなりません。

現代的母系社会の母系家族
様々なタイプの母系社会のなかで、私達はどのような母系社会を目指すべきか今後議論しなければなりませんが、最終的には個々の母系家族やグル−プで決めるべき問題であり、必ずしも日本の母系社会が一つのタイプに統一される必要はありません。そこで最低限、共通すると思われるポイントと選択される可能性の高い幾つかのタイプを検討してみたいと思います。

母系社会の建設を目指すグル−プでおそらく意見が分かれるのは、財産の問題と父親の問題でしょう。まず財産の問題では、全ての財産の所有権を一族の女性だけに認めるか、男性も含めた一族全員の共有とするかで意見がわかれるかもしれません。おそらく女性だろうが、男性だろうがとにかく一族の最年長者一人に所有権の独占を認める母系家族は少ないのではないでしょうか。また子供が男だけの場合は、当然その男の子供が、財産を相続できる制度が認められるでしょう。

また父親の問題では、実父のみに親としての法的権利を認め、母方のオジ(母親の兄弟)には道義的な義務のみ課し、離婚した場合は法的権利が実際に子供の世話をするオジに移るなどの案が考えられます。この問題はどのような夫婦の居住形態を選ぶかにより、変わるでしょう。いずれにしても実父と子との父子の関係は実父が死ぬまで続き、離婚すると実父が完全に無視されるようなタイプはほとんど採用されないと思います。

結婚後の居住方法は夫が夜だけ妻の家を訪れる訪妻婚(通い婚)、妻方居住婚(婿入り婚)、夫方居住婚(夫の母親の実家。生まれた男の子は同じく結婚後、妻とともに母親の実家に引越し、もう一人の父親のオジと同居)の3タイプがあります。

おそらく子供が生まれるまでは2人だけで居住し、その後は女性の一族の集団居住地での訪妻婚となるタイプが一番多く採用されるのではないかと思います。夫の一族の居住地が遠い場合は妻方居住婚が選ばれるなど、事情に応じて、臨機応変に選択されるでしょう。

現存する母系社会では、母系家族に家長がいて最終的な決定権を持つ場合もありますが、私達の母系家族では、いずれにしても戦前のような専制的家長制ではなく、成人の家族メンバーとか18歳以上とか一定の条件を持つ家族メンバー全員の意思が極力いかされる家族になって欲しいと思います。
ここは、母系社会の「ビジョン」を整理し構築するためのページです。今回は叩き台として私達の案のポイントをまとめました。今後は掲示板や会報などに寄せられた会員の方々やこのサイトの訪問者からのご意見を参考に、一次案、二次案と整理してまとめ、より具体的で精度の高い構想をつくりたいと思います。
 母系社会の構想のポイント
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