人件費はどこから捻出される費用でしょうか。それは日々の生産活動において
会社(労使)が生み出した付加価値になります。付加価値とは、簡単に言えば、
売上高から外部購入費用(原価など)を差し引いた主に粗利(売上総利益)です。
(製造業の場合は売上高から材料加工費や外注加工費を差し引きます。)
算出は中小企業庁方式などの「控除法」(売上高ー外部購入費用)や財務省や
日銀方式などの「加算法」(経常利益+人件費+金融費用+租税公課+減価償
却費など)があります。この生産された付加価値から店舗や事務所などの賃借
料、減価償却費、人件費、通信費、広告宣伝費などと言った、販売費や一般管
理費に相当する費用を差し引き営業利益が計上されます。従って、人件費は付
加価値から食べられる費用ということになります。(付加価値のうち人件費に当
てられる割合を示したものが「労働分配率」になります。)ですから、総額人件費
が増大する仕組みである処遇方針ならば、付加価値も増大していかなければ、
やがて賃金支払能力の限界を超えますし、付加価値が縮小して行けば、総額人
件費も縮小せざるをえない結果となります。昨今、見直されるつつある賃金改革
はこの原理をしっかりと念頭に置かれることが、前提条件と言えるでしょう。 |