労働者が業務上の災害により、負傷、疾病、障害又は死亡した場合は、使用
者はそれらに要する費用の負担等補償しなければなりません。労働基準法で
は、このような業務災害による事故を使用者が補償することを義務づけていま
す。(数次の請負による建設の事業は元請事業を使用者とみなし、下請け事
業者の災害補償を一括します。労働基準法87条、労働保険徴収法8条)労
働者災害補償保険は、業務災害による使用者の補償義務を肩代わりし、被災
労働者や遺族を援護する為に昭和22年に制定されました。この労災保険は労
働者を1人でも使用した場合は、原則として加入しなければなりません。労災
保険による給付が行なわれると、使用者は同一の事由については、その価格
の限度で災害補償を免れます。ただし、これらの免責はあくまで、保険給付の
「価格の限度」によるものなので、労災保険のみで被災労働者の損害を補償
できるとは限りません。特に民事損害賠償について、精神的苦痛に対する慰
謝料や見舞金などは、労災保険給付ではカバーされません。(そのため、民間
の損害保険も重要な役割を果たします。)また、労災保険は業務災害だけでな
く、通勤途上による、負傷、疾病、障害又は死亡でも必要な保険給付が行なわ
れます。 |