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(業務インフォメーション)


雇用と賃金、退職金、そして年金の在り方と社会環境の変化
各会社には経営方針にあった処遇方針があります。最近の雇用労働市場では
即戦力重視、ストック型人材(正社員)のみならずフロー型人材(アルバイトや派
遣社員など)の活用強化、依然とした雇用ミスマッチ、(状況によっては賃金のミ
スマッチ)など就業意識、採用・雇用意識の多様化など、労働市場も流動的であ
り変化があります。また、法整備として平成16年に改正労働基準法が施行され、
これまでの有期労働契約の上限を1年から3年へ(60歳以上の方や一定の専門
的知識等を有する業務に就く従事者は3年から5年へ)延長されたことや、解雇ル
ールの事前周知及び就業規則へ解雇事由の記載が義務付けられるなど会社は
解雇をめぐるトラブルを事前に防止する義務を負うことが、事実上明確化されま
した。年金については、厚生年金保険料の段階的引上げとその上限や給付水準
の引き下げとその下限、1週間20時間以上のパートタイマーへの厚生年金の適
用拡大論議(今回は見送られましたが)など、企業や加入者の負担増は企業収
益の足を引っ張ることになりかねず、今や大きな関心事となっています。社内に
おいても退職金制度移行(退職給「与」引当金の廃止や新会計基準の導入、外部
積立の場合の予定利率とそれを下回る運用実績による巨額な積立不足(運用リ
スク)、平成24年3月で税制適格退職金制度の廃止は決定しているなど)も、やが
てその対応にもせまられ、今や退職金制度そのもののあり方も大きく変ろうとして
います。「予算重視」から「決算重視」への変化、「年功序列」から「成果業績重視」
への変化、「確定給付」から「確定拠出」への変化、「長期的インセンティブ(後払
い、ポイント積上げなど)」から「短期的インセンティブ(ペイ・ナウ)」への変化、団
体交渉の他、個別労使紛争解決支援機関の充実への変化などが見られる社会
環境の中で、社内ルールとコンプライアンス経営、仕組みと人材活性と処遇につ
いて、多くの企業では「変えてはいけないもの」「こだわり」も同時に確認しながら
各社理念や方針のもと、変化への対応がすすめられていると思います。


就業意識の多様化と雇用環境の変化は労働市場に直接影響する


SSC賃金システム設計ツール
〜御社の処遇方針をカタチにするハード〜
人材育成と連動する短期洗替えによる職能給の設計
SSC賃金設計ツールは、ショート・スパン・チェンジ(短期洗替え)により運用す
る職能給を取り入れる賃金設計です。もちろん「職能給」でなく「業績給」「成果給」
などでも構いませんが、必ず「賃金規定」において明確に定義しておく必要があり
ます。「職能給」とは、職務遂行能力を足場とした賃金ですから、合理的な運用に
は「人事考課制度」が必要になります。重要なことは、当然のことながら、どのよ
うな尺度や要素で測るのか、そこは御社の処遇方針によることになります。職能
給は職務遂行能力に対しどのようなモノサシを持つかの設計になりますが、職務
内容とそのポジションにおけるミッションも大きく関係しますので、「職務給」(職務
内容に価値基準をおいた賃金)との兼ね合いを重要視されることになりましょう。
すなわち、この設計ツールは単なるハードに過ぎません。あくまで、ソフトは社長
の思い、当然の事ながら素材は御社の中にしかありません。(従って、設計や導
入については、まずは社長の方針や意向をベースに社員も含めて計画的に行う
ことを想定しています。もちろん、処遇方針に「職能給」を含める必要性が薄けれ
ば、無理に含める必要など無いことは言うまでもないでしょう。)また、人事考課は
人材育成の為にあり、人材育成と処遇を乖離させない意識が必要だと考えます。
処遇方針は人材育成方針に直結する関係にあります。査定主義から育成主義
へ。社員の成長が企業の成長。会社のその期の目標があって、社員が考えるア
イデア・意見・活動がある等。社会の中に会社が存在し、会社の中に社員が活動
し、またその社員は社会人でもあります。環境による影響を受け、また変化しま
す。半期ごと(若しくは事業年度ごと)に洗替を行いながら変化に対応して行く職
能給の設計を想定しています。このハードは職能等級表と各等級ごとの幅(レン
ジ)の設定になります。(もちろん、これらの職務等級表も物価の変動や経営状
況、社員構成などの変化に対応するため3年ごとに検討し見直す場合があるなど
予め取り決めておく事も重要ですし、それに伴う業績を示す資料(P/Lなど)情報
開示も必要でしょう。)洗替え方式は半期ごと(または年度ごと)にそのグレード
内のレンジ(幅)で決まりますので、職能給は設定目標の達成度により変化しま
す。また、評価(達成度)の結果により、定める一定基準を満たすことでグレード
は昇格(または降格)します。従って半期ごと(または年度ごと)にグレード内でリ
セットされます。変化のある制度ですから、チャンスは短期にあるととらえることも
できますし、逆に安定しない(上がったり、下がったり不安定)部分でもあると言え
ます。

人事考課の手法としては、例えばMBO(目標管理制度)があります。「目標を管
理」するのではなく、「目標による管理」です。会社は当期の売上目標や契約目標
等があり、その中で各ポジションの目標を考え、自己の目標設定を行い会社と確
認する。各期ごとに目標面接とフィードバック面接を行い改善点や成功例などそ
の環境状況を共有し確認する。会社と社員のコミュニケーションの一つの手法で
す。既に実践されている会社も多いと思います。人事考課を人材育成の場ととら
え、社員からの生きた提案も抽出することも重要と言えますし、社員の主体性を
どう促すかが社員のモチベーションにつながるでしょう。ミッションを踏まえ社員に
「考えさせること、任せること、報告や連絡、相談を守ること」そして、会社は「それ
らを確認し、フォローや指示すること」で会社の各期の目標と一体化させます。

「人事考課」といっても、各社の方針が異なる以上、手法や考課内容も各社それ
ぞれ異なることは言うまでもありません。それはいわば会社の戦略であり、体質
となり個性でもある重要な作業です。考課訓練(研究)も必要かもしれませんし、
測れる要素、客観性が取れやすい要素、そうでない要素、あるいは測ってはいけ
ない要素などが当然に検討事項としてあるでしょう。シンプルにまとめる為には測
る要素やカテゴリー(範疇)を絞り込む事かもしれません。(そのシンプルにまとめ
る作業は必ずしもシンプルには行かないかも知れませんが)社長や人事部、考課
者も考課方法や考課内容について不具合や調整などを常に確認する。やはり、
人事・労務は常に確認作業です。

その運営上の画一的ルールとして、対象者や考課期間、昇格や降格基準、中途
採用者の取扱いなど「人事考課規程」も就業規則の附則規程として整備し対象者
を中心に周知させる必要があります。互いが納得し、ミッションを果たし、成果を期
待する。やはり、企業人事は「労使WIN‐WINの仕組み作り」、企業労務は「社内就
業環境と社会調和(社会的マクロ政策における適用も受ける)」が重要なのはこれ
からも変らないことでしょう。


人事考課は人材育成の場(コミュニケーションの場)として
有効に機能させ処遇とリンクさせる。(乖離させない)
人材育成はやはり、OJT(日常業務の中で行う教育訓練)
が中心になりましょう。


勤続給や職務給などがある場合(必要な場合)は別に設定
賃金制度の検討は昇給制度の検討
「勤続給」や「年齢給」の廃止、定期昇給の廃止など年功的要素を排除する動き
も見られますが、これは恐らく年功型の賃金制度では変化に対応できない。職能
給も併存させているが、考課内容も年功的要素が強く、結局、勤続給に依存して
しまうなどの理由が根底にあるのかもしれません。ただし、当然の事ながら「勤
続給」や「年齢給」を賃金決定要素として残すのも一つの方法であり、あくまでそ
れは、各社環境と処遇方針により様々です。(会社の年齢構成などによっては代
替措置、暫定措置、経過措置などが必要な場合もあるかもしれません。)「勤続
給」は職能給とは別に切り離して取り入れるべきでしょう。基本給の柱を何処に置
くのか、各柱のウェイトをどうするのか、基本給のウェイト付けに合った勤続給の範
囲での昇給ピッチや月額単価のウェイトの縮小、設定、定期昇給の上限等になり
ます。(「職能給」には年功的要素は全く除いて行いますので、年功的要素はこの
「勤続給」(あるいは「年齢給」等の属人給)のみで設定します。)

「職務給」も同様に別に設定します。「職務給」とは職務内容を格付けして決定しま
すので、職務分析、職務評価、職務等級を要します。ミッションが異なれば「職務
給」も当然に異なる事があります。裏を返せば職務内容(配置転換等)が変らなけ
ればベースアップ等、等級表の書き換えを行わない限り「職務給」は変更しませ
ん。従って短期洗替による「職能給」と併存した場合は、職「能」等級の洗え替によ
り、職「務」等級が上級の社員より、下級の社員の方が月給が多くなることもあり得
ることになります。(ちなみに、結果として賃金月額に差が生じることはあっても、賃
金月額に差をつける事自体は全く狙いとはならないでしょう。)すなわち賃金体系か
ら見た場合は体系全体の金額よりも、その体系のウェイトが重要であることを意味
します。ですから、各種手当についても「通勤手当は残す」「役付手当は職務給に
統合する」などの確認も行う必要がありましょう。

事業者であればサービス単価や商品に値段がつきます。値上げがあったり、値下
げがあったり。給与においては何に値段がつくのか。「在籍(勤続給など)」「仕事
(職務給など)」「能力(職能給など)」と要素があります。もちろん会社と社員は使
用従属関係にあり、事業者間の取引とは異なりますが、簡単に言うならば、それら
決定要素が賃金体系を形成し、それが基本給の柱となり、各種社会保険料や将来
の給付のベース(標準報酬、賃金日額など)にも反映されることになります。

基本給の決定要素を分離し、各要素のウェイト付けをする。
仕事給(職務給や職能給など)の決定には年功的要素に依
存しない。勤続給や年齢給を併存させる場合は昇給ピッチ
の調整に留意する。


「賞与」という賃金、「退職金」という賃金
先だって法令で義務付けられてはいない賃金
多くの会社で規則に規定されて存在している賃金
「月額基本給の○ヶ月分を支払日に在籍している者に支給する。」多くの会社で
はこのように基本給を基礎とした賞与の在り方が主な(だった)のかも知れませ
ん。この賞与は先だって法令で定められた賃金ではありません。古くは高度経
済成長のもとボーナスとして支給されるいわば臨時的賃金であり、各社就業規則
に規定され存在する雇用慣行の実情から普及した賃金です。この「賞与」は社会
的にも夏季商戦や歳末商戦など経済活動を活発にし、自動車や住宅など各種ロ
ーンにおいてもボーナス時利用返済があるなど社会的にも定着しました。そのた
め、インセンティブ効果は大きくやはり見直しもスムーズとは行きません。原則と
しては賞与そのものの取扱いについては社内規則としての就業規則に従うことに
なり、例えば夏季と歳末季の年2回の場合は毎月払いの原則や一定期日払いの
原則、平均賃金算入、割増賃金算入、最低賃金法の適用等はありません。(就業
規則については不合理な不利益変更は無効となるものであることは判例でも示さ
れていますし、個別的には労働契約も存在しています。)賞与制度を見直す場合
は、やはり、まず支給の意義・目的を考える必要がありましょう。生活費補助を目
的とするのか、会社の利益分配として位置付けるのかなどです。現在、成果・業
績(若しくは能力)型への転換を検討されている場合は、必然的に賞与を会社の利
益分配としての位置付けとするのが自然かもしれません。賞与原資は、月次給与
を年収ベースでとらえ、そこから基本賞与額の原資を置き(例えば基本月額×12
÷16のうち、基本月額×2を毎年夏季、冬季の基本賞与額にする。短期洗替えの
「職能給」などが基本給に含まれている場合は短期洗替え部分の影響により基本
賞与額も変動することになります。)、その上に利益配分(営業利益の○○%を全
体の上乗せ賞与原資として配分方法を決める)を上乗せする方法も考えられるで
しょう。いずれにしても賞与原資を決定し分配方法を決める。賃金制度として基本給
の在り方の検討と密接に賞与の在り方も検討する必要性も出てきます。

退職金は賞与より更に長期的な運用を要し金額も大きな賃金です。この退職金も
先だって法令で支払を義務付けられた賃金ではありません。退職金規程など就業
規則や労働契約として存在している賃金です。外部へ拠出し運用収益を利用して
積立てておく制度や退職時基本給月額に勤続年数等に応じた支給率を掛け支給
する制度などが主流でしたが、これらの多くは確定給付型で行われている制度で
す。予定利率を下回る運用実績による積立て不足(追加拠出による企業への皺寄
せ)や退職給与引当金の廃止(有税引当の増加、年齢構成や規程内容によっては
何よりも資金繰りに耐えられなくなる危険性も)による企業財務への悪影響が懸
念されており、税制適格退職年金制度に至っては(税制適格要件による税制上の
優遇)平成24年3月で廃止となります。(逆を言えば平成24年3月までは適用を受け
られることになりますが。但し、既に適年実施企業が分社化した場合や適年実施企
業同士の合併による新法人の新規適年契約など例外を除き、原則として新規に適
年の導入はできません。)中退共制度や企業型DCなど「確定拠出型」をベースとし
た制度への移行やキャッシュ・バランス・プランと呼ばれる「確定給付型」をベース
に「確定拠出型」を混合させたいわばハイブリット型の制度への移行、あるいは退職
金制度の前払いを伴う廃止など選択肢はありますが、何よりもまずは会社の状況
(積立て不足についてや、向う10年に予想される退職金額など)を把握し退職金規
程も含めどのように見直すか、どのような手順を踏むか不利益変更には十分に留
意し、やはり計画的に行う必要性があるでしょう。注意したいのは運用方法を変える
こと自体はできても、退職金規程を変更しない以上、その権利は残ります。そのた
め現行退職金制度を変えるということは「退職金規程を変える(労働条件を変更す
る)」ということである点には十分ご留意ください。社員にとっても退職年齢に近づけ
ば、近づくほど当然に退職金は重要な関心事であるはずです。

税制適格退職年金制度など特に外部積立方式の退職金制度についての運用の
悪化については社会経済情勢の影響が大きく会社だけの責任では無いと私は思
いますし、これほど急激なまでの運用利回りの低下は中小企業が予測などできる
はずのものでは無いと思います。(公的年金ですら、その運用に対し不満や不信
感もある中で政府は給付の引き下げや保険料率の引上げ、支給開始年齢の引上
げなど制度改正をするのですから)ただ、そこはあくまで御社の社内制度として見
直すわけであり、見直す必要性がある以上、状況は説明し理解に努める必要は当
然あるといえましょう。定年延長や継続雇用制度もセットで考えるなど、やはり対策
は容易なことではありません。


賃金決定の根拠を示すツールづくり
ブラックボックスでは運営に障害を与える!
「賃金はどのように決定されるのか」社員にとっては当然に知るべく重要事項です。こ
れまでは年功型が主流であったと言え、それは勤続年数や年齢で昇給される「終身雇
用」を前提としたシステムとして機能性を発揮していたと言えます。(小企業などでも
これまでも中途退職者が多く、定年退職者が少ない場合でもシステムそのものは
勤続年数で昇給は「上昇のみ」の結果的には終身雇用型であったのではないでしょ
うか)また、人事考課や職能資格制度も何も新しい制度ではなくこれまでもありまし
た。でも、その多くは勤続年数にかなり依存していた制度が多かったのではないでし
ょうか。もちろん、それはこれまでは最も優れた人事システムであったのだと思いま
すし、長く勤めれば安定する。それが低失業率、安定成長を形成していたと言えます。
就業意識も転職より「終身雇用」の意識が高く、経営家族主義と言われた日本型雇
用システムは年功型賃金は非常に合理的な賃金システムであったのだと思います。
ただし、就業意識も環境も変れば制度も変ることがある。変える必要があるのならば
会社も処遇方針を変えるだけの仕組みを提唱しなければならなくなります。であれ
ば社長の方針や意向を示し、その青写真と検討するべくいわば「タタキ台」をつくり、
社員も含めたプロジェクトとしてそれをどのように運営して行くべきか、どのようなル
ールのもと行うべきかを考えなければならないことでしょう。生産利益は社員のモチ
ベーションや人材育成がなくては生れないことは経営者が最もご存知なはずですから
やはり、まずはそれを知っている社長の方針、意向が全てで良いはずです。雇用の流
動化が進めば、社員にとって魅力のある会社でなければ、やがて良い人材を確保し
て行くことが非常に困難になるでしょう。雇用が流動化するということは、会社にとって
も、社会保険適用など社会調和の意識がより、重要となるでしょう。あとは、社員代表
者にも参加させアイデアや留意点、修正点、検討事項などを拾い検討する。そして測
れないものは初めから測らない、測れるものだけを測るなど「見える制度」を目指し、
根拠を確認するべく規程類を整備する。社会調和として法令(勤務時間シフトの在り
方や休日、社会保険など)にも留意しコンプライアンス経営もこれまで以上に心掛け
る。賃金制度改革は年功主義や成果主義の良し悪しの問題ではなく、会社の環境
変化にあった制度をどのような目的のもと、どのように見直して行くか、その移行手
順や方法、不具合点検、調整などを行い、労使一緒に作り運営する。事業活動のた
めの経営方針と経営環境に応じた労使関係のメンテナンス作業と言えましょう。


賃金システムは各社各様です。やはり、会社の意向に応じた処遇方
針が全てのベースとなります。設計ツールは組立のハード。運営は規
程の周知。「これまではこうだった」「このような点が問題点」「それを
こうしたい」「法令基準はこうなっている」「この部分は段階的に進める
べき」「社員のこの考えは重要」「この部門の社員にも参加を促そう」
など...社内の年齢構成やこれまでの運営との兼合いも含め一つ一
つ整理・確認してみましょう。

賃金設計や各種規程、協定について弊事務所も考えお手伝い致しま
す。また、御社の状況や必要性に応じ、生保プランナーや会計事務
所、産業カウンセラーなど関連するコア業務やより高度な知識を要す
る場合において信頼できる他の専門家との連携・協働体制もあります。


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