横並びの賃金制度。かつては従業員にとっては将来設計がたてやすい、
また企業にとっても管理がしやすく、従業員の定着率を促進させる効果
があるなどのメリットがありました。いわゆる「年功主義賃金制度」です。
この「年功主義賃金制度」は学歴・勤続などを指標として、賃金体系上、
勤続給や本人給、年齢給としてセットされるあり方です。この年功主義賃
金制度は勤続給が大きく絡むだけに賃金カーブは右肩上がり、伸び率に
変動はあるにせよ、上昇しか前提としていません。もちろん、私はこのあり
方に否定はしませんし、むしろ、管理面や従業員の生活設計などの様々
な面からも「年功主義」+「各個人の能力に応じたインセンティブ」が最も
理想的かもしれません。それは、これまで年功主義賃金制度が普及して
きた状況を見ればあきらかでしょう。しかし、この年功主義賃金制度は、
既に制度疲労を起こしている状況であることは言うまでもありません。
特に中小企業は通常は人事部などの専門部門が存在せず、人事政策に
遅れがちです。企業財務面での最も大きな比重を占める人件費の分配原
資はあくまで企業の資産や損益に大きく影響するものですから、経営状況
や経済情勢においても、当然に賃金制度の在り方を考えて行く必要性が
生じます。
|