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平成7年2月1日付基発第38号

脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因する場合を除く)の認定基準について

<過労死の労災認定基準>
取扱う疾病
脳血管疾病
※脳血管疾病とは、広義には脳血管の疾病の全てを
指しますが、本認定基準ではそのうちの脳血管発作
により何らかの脳障害を起こしたものを言います。従
来、脳卒中と呼ばれた疾患がこれに該当します。
イ、脳出血
ロ、くも膜下出血
ハ、脳梗塞
ニ、高血圧性脳症
虚血性心疾患等
※虚血性心疾患とは、冠循環不全により、心機能異常
または心筋の変性壊死を生じる疾患(イ〜ハに揚げる
疾患)、並びに解離性大動脈瘤及び不整脈による突然
死等を言います。
イ、一時性心停止
ロ、狭心症
ハ、心筋梗塞症
ニ、解離性大動脈瘤
ホ、不整脈による突然死等

(認定要件)
次に揚げたイ又はロの業務による明らかな「過重負荷」を発症前に受けたこ
とが認められること。
イ、発生状態を時間的・場所的に明確にしうる異常な出来事(業務に関する
  出来事に限る)に遭遇したこと。
ロ、日常業務に比較して、特に過重な業務に就労したこと。
※尚、本認定基準においては、現在の医学的知見に照らし、業務上の諸種
の要因によって発症したか否かの判断基準として、妥当と認められるもの
を認定要件としたものです。

(認定要件の運用基準)
「過重負荷」とは? 脳血管疾患及び虚血性心疾患等(以下、「脳・心疾患」とします)
の発症の基礎となる動脈硬化等による血管病変または動脈瘤、
心筋変性等の基礎的病態(以下、「血管病変等」とします)を、
その自然経過を越えて急激に著しく憎悪させうることが医学経験
則上認められる負荷を言います。
業務による明らかな
過重負荷として認め
られるものはイ、「異
常な出来事」に遭遇
したこと及びロ、「日
常業務に比較して、
特に過重な業務に就
労したこと」です。
「異常な出来事」とは? イ、極度の緊張、興奮、恐怖、驚愕等の強度の精神的負荷を引き起こす突発的又は予
  測困難な異常な事態
ロ、緊急に強度の身体的負荷を強いられる突発的または予測困難な異常な事態
ハ、急激で著しい作業環境の変化
「日常業務に比較して、
特に過重な業務に就労
したこと」とは?
イ、「日常業務」とは通常の所定労働時間内の所定業務内容を言います。
ロ、「特に過重な業務」とは日常業務に比較して特に過度な精神的、身体的負荷を生じさ
  せたと客観的に認められる業務を言います。




心理的負荷による精神障害等にかかる業務上外の判断基準(当時:労働省労働基準局長)
(過労自殺の労災認定基準心理的負荷による精神障害等にかかる業務上外の判断基準)

(基本的考え方)
心理的負荷にかかる精神障害の業務上外の判断において、考慮されるべき要素は以下の通りです。
@問題となる精神障害の発病の有無、発病の時期、疾患名
A業務による心理的負荷の強度の評価
B業務以外の心理的負荷
C個体則要因(心理面の反応性、脆弱性)
・精神障害の既往歴の有無
・生活史(社会適応状況)
・アルコール、薬物等依存状況
・性格傾向 など

※心理的負荷にかかる精神障害の業務上外の判断にあたっては、当該精神障害の発病の有無に
  関与したと認められる業務による心理的負荷の強度の評価が重要であるとされています。この
  評価は、労災保険制度の性格上、多くの人々が一般的にどのように受けとめるかという、客観的
  な基準から評価する必要があるとされています。
※これらの判断にあたっては、まず、精神障害の発病の有無などを明らかにした上で、業務による
  心理的負荷、業務以外の心理的負荷及び個体側要因の各事項について具体的に検討し、それ
  らと当該労働者に発病した精神障害との関連性について総合的に判断される必要があるとされ
  ます。


(過労自殺の労災認定基準)
次の@〜Bのいずれも満たす精神障害は、労働基準法施行規則別表第1の2第9号(その他業務
に起因することの明らかな疾病)に該当する疾病として取扱われます。
@対象疾病に該当する精神障害を発病していること
A対象疾病の発病前おおむね6ヶ月の間に、客観的に当該精神障害を発病させるおそれのある業
 務による強い心理的負荷が認められること
B業務以外の心理的負荷及び個体側要因により、当該精神障害を発病したことは認められない
  こと


(精神障害による自殺)
ICD−10のF0〜F4に分類される多くの精神障害では、精神障害の病態としての自殺念慮が出現す
る蓋然性が高いと医学的に認められることから、業務による心理的負荷によってこれらの精神障害
が発病したと認められる者が自殺を図った場合には、精神障害によって正常の認識、行為選択能力
が著しく阻害されている状態で自殺が行われたものと推定し、原則として業務起因性が認められると
されます。但し、上記の精神障害と認められる事案であっても、発病後治療等が行われ、相当期間
経過した後の自殺については、治癒の可能性やその経過の中で業務以外の様々な心理的負荷要因
の発生の可能性があることや、自殺が当該疾病の「病状」の結果と認められるかどうかは、さらに療養
の経過、業務以外の心理的負荷要因の内容等を総合して判断する必要があるとされます。尚、上記
以外の精神障害にあたっては、必ずしも一般的に強い自殺念慮を伴うとまではいえないことから、当該
精神障害と自殺の関連について検討を行う必要があるとしています。


(遺書等の取扱い)
遺書等の存在については、それ自体で正常な認識、行為選択能力が著しく阻害されていなかったと判断
することは必ずしも妥当ではなく、遺書等の表現、内容、作成時の状況等を把握の上、自殺に至る経緯
に係る一資料として考慮されます。





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