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〜労務管理とは事前周知と確認作業〜
(業務インフォメーション)

労働条件の明示は労務管理のスタート地点

労働条件は労使互いに把握したものでなければなりません。人材の雇用
を行えば、会社は当然に労務管理責任が生じることになりますから、会社
は労働条件を把握し、それを従業員となる方に明示できなければなりませ
ん。労務管理は「労働条件管理」であり、「労働条件管理」とは「事前周知」
と、その「確認作業」です。従いまして、事前周知となる「労働条件の明示」
が労務管理のスタート地点と言えます。

しかし、「労働条件」と言っても内容は「賃金(賃金形態、賃金体系、賞与、
退職金、社会保険など)」「労働時間」「休日、休暇(育児・介護休業や年次
有給休暇、子の看護休暇など)」「退職(解雇、定年など)」等々多岐にわた
りますから、まずは「法的に求められる明示事項」については押さえたいとこ
ろです。そして従業員数が増加すれば画一的な「就業規則」(従業員数が常
時10名以上となれば作成・届出義務が生じます。)が必要となります。

労働基準法で明示が求められる労働条件
(労働基準法第15条、労働基準法施行規則第5条)
******1〜5は(4の昇給に関する事項を除く)書面明示******
1、労働契約の期間に関する事項
[内容]
・期間の定めなし
・期間の定めあり(平成○○年○月○日〜平成○○年○月○日)
※期間の定めありの場合は...
・契約更新の有無(自動更新?更新の場合はあり得る?あり得ない?など)
・契約更新の判断(業務量?勤務態度?経営状況?など)
2、就業場所および従事する業務に関する事項
[内容]
・○○県○○市○○.○-○−○(○○工場)
・○○職(一般事務、営業職、製造、販売、調理、加工、開発など)
3、始業および終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、
休日、休暇ならびに従業員を2組以上に分けて就業させる場合における就業
時転換に関する事項
[内容]
・始業 午前○時○○分 終業 午後○時○○分
※変形労働時間制を導入する場合は始業時刻、終業時刻の組み合わせを明示
・所定外労働の有無
・休憩時間○○分(午後○○時○○分〜午後○○時○○分 や 交替による な
ど)
・休日(毎週○曜日、○曜日、別途勤務表による など)
※1年単位の変形労働時間制の場合は年間休日日数○○○日
・休暇(年次有給休暇6か月継続勤務で10労働日以降1年経過ごとに法定の日
数を労働日に付与 育児休業 介護休業 子の看護休暇 生理休暇 慶弔休暇
 など)
・交替勤務の場合の就業時転換(○○曜日を起算とする○週間ごとに転換:次回
転換日平成○○年○月○日○曜日 など)
4、賃金(6、7に定める賃金を除く)の決定、計算および支払方法、締切お
よび支払の時期、昇給に関する事項
[内容]
・基本賃金(月給、日給、時間給、出来高給 : ○○円 など)
・諸手当(通勤手当、家族手当、技術手当 ○○手当 : ○○円/月 計算方法 な
ど)
・所定外労働に関する割増賃金(法定時間外労働は通常賃金の125% 法定休日労
働は通常賃金の135% 深夜労働は通常賃金に25%上乗せ など)
・賃金締切日(毎月○日)
・賃金支払日(毎月○日、但し賃金支払日が休日の場合はその前(翌)日 など)
・賃金支払方法(現金手渡し、同意により指定口座へ振り込み など)
・昇給(原則として毎年○月、但し経営状況、勤務態度、業績に応じて全部または一
部を行わず、または昇給時期を変更する場合がある など)
5、退職に関する事項、解雇の事由
[内容]
・定年の有無(60歳以降希望者を対象とする65歳継続雇用制度あり など)
・自己都合退職の手続き(退職日の14日以上前に退職届(様式は任意で可)に理
由、退職希望日、氏名を記載し認印を押印のうえ所属の長へ届け出ること など)
・解雇の事由(無断欠勤を○日以上した場合、勤務態度が著しく悪く協調性に欠ける
など社内の風紀を著しく乱した場合、経営状況が著しく悪化し雇用の継続が困難とな
ったとき、取引先や顧客の信用を失墜させたもしくは失墜させる恐れがある場合、そ
の他就業規則第○条による など)
※実際に解雇の事由が発生した場合は弁明の機会を与えるなど手続きには十分に
留意する必要があります。
※解雇には労働基準監督署長の認定を受けない限り予告が必要です。
※解雇には制限があります(産前産後休業中とその後30日間、労災休業中とその
後30日間)
※解雇には以下の@〜Fの禁止事由があります。
@国籍、信条、社会的身分を理由とする解雇(労基法19条)
A労働基準監督署へ申告したことを理由とする解雇(労基法104条)
B労働組合員であること、労働組合の正当な行為をしたこと等を理由とする解雇(労
組法7条)
C性別を理由とした解雇(均等法6条)
D女性労働者が婚姻、妊娠、出産したこと、産前産後休業等をしたことを理由とする
解雇(均等法9条)
E育児休業を申し出したことや育児休業を取得したことを理由とする解雇(育介法1
0条)
F介護休業を申し出したことや介護休業を取得したことを理由とする解雇(育介法1
6条)
**6〜13は慣行も含め定めがある場合に明示(書面明示が望ましい)**
6、退職手当が適用される従業員の範囲、退職手当の決定、計算および支払
方法、退職手当の支払い時期
7、臨時の賃金、賞与、1箇月を超える期間を要件とする手当等に関する事項
8、労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
9、安全および衛生に関する事項
10、職業訓練に関する事項
11、災害補償および業務外の傷病扶助に関する事項
12、表彰および制裁に関する事項
13、休職に関する事項



〜労務管理の重要な一歩である「あらかじめ」は書面で確認しましょう〜
労働基準法で義務付けられた明示事項、明示方法の他に「労働契約法」
については労働契約の内容について、「パートタイム労働法」には「特定事
項」について、「労働者派遣法」については「就業条件の明示」について、そ
れぞれ、次のように規定されています。

労働基準法以外の法律で「労働条件の明示」に関連する規定は何かあるの?
労働契約法
【労働契約法とは?】
個別労働紛争を解決するための労働契約に関する民事的なルールを定めた成文
法。労働契約における権利義務関係を確定させる法的根拠を示しています。
【労働契約5原則】(労働契約法第3条)
@労使対等の原則
(労働契約の成立、変更の合意は労使対等決定を原則とすることを確認している)
A均衡考慮の原則
(労働契約は労使が就業の実態に応じて、均衡を考慮し締結または変更するべき)
B仕事と生活の調和への配慮の原則
(労働契約は、いわゆる「ワーク・ライフ・バランス」に配慮し、締結・変更するべき)
C信義誠実の原則
(労働契約は労使ともに遵守し、信義誠実に権利を行使し、義務を履行する)
D権利濫用禁止の原則
(労使ともに労働契約に基づく権利行使について濫用があってはならない)
労働契約法第4条(労働契約の内容の理解の促進)
 使用者は、労働者に提示する労働条件および労働契約の内容について、労働者
の理解を深めるようにするものとする。
2.労働者および使用者は、労働契約の内容(期間の定めのある労働者に関する事
項を含む)について、できる限り書面により確認するものとする。
<解説>
労働条件の明示はできる限り書面で確認することで労働条件の内容を把握し、理
解の相違を防止する等、労働契約の内容の理解を促進するために規定されてい
ます。この規定による書面確認事項は労働基準法による労働条件の明示事項より
も広く解されます。なお、この規定で確認が望まれる「書面」とは、電子メールは該
当しないとされています。

パートタイム労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)
【パートタイム労働法とは?】
フルタイム勤務のいわゆる「正規社員」等と、その形態と比べ1週間の所定労働時
間が短時間勤務である形態の労働者(いわゆる「パートタイマー」「アルバイト」など
呼称は問わない)についての公正な待遇のあり方について規定された法律です。
パートタイム労働法第6条(労働条件に関する文書の交付等)
 事業主は、短時間労働者を雇い入れたときは、速やかに、当該短時間労働者に
対して、労働条件に関する事項のうち労働基準法第15条第1項に規定する厚生労
働省令で定める事項以外のものであって厚生労働省令で定めるもの(次項におい
て「特定事項」という。)を文書の交付その他厚生労働省令で定める方法(次項にお
いて「文書の交付等」という。)により明示しなければならない。
2.事業主は、前項の規定に基づき特定事項を明示するときは、労働条件に関する
事項のうち特定事項および労働基準法第15条第1項に規定する厚生労働省令で
さだめる事項以外のものについても、文書の交付等により明示するよう努めるもの
とする。
<解説>
労働基準法第15条による労働条件の明示に加え、短時間労働者に該当される方
を雇入れる際に「特定事項」として、「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有
無」の3つの事項について文書の交付(この特定事項につき、当該短時間労働者
に該当する方がFAXや電子メールでの明示を希望した場合のみFAX、電子メー
ルでの明示が可能です。)などにより明示が義務付けられています。(H20.4.1より)
なお、この規定に違反した場合で行政指導によっても改善が認められない場合は
パートタイム労働者1人の契約ごとに10万円以下の過料に処せられます。

労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就
業条件の整備等に関する法律)
【労働者派遣法とは?】
職業安定法と相まって労働力の需給調整を図るための労働者派遣事業の適正な
運営の確保に関する措置や派遣労働者の就業条件の整備等について規定された
法律。法改正により、平成16年3月から、それまで適用除外とされていた「物の製
造業務」が派遣対象業務となるなど大幅に規制が緩和され、いわゆる日雇い派遣
労働者が大幅に増加し、雇用の在り方として「チープワーカー」「ワーキング・プア」
を助長させる温床となる制度になってはいないかなどの議論をよんでいます。雇用
の在り方や就業条件の在り方として、社会経済にも与える影響が顕著なだけに労
働者派遣制度の規制やルールについて今後の見直しや動向が注目されます。
労働者派遣法第32条(派遣労働者であることの明示)※派遣元
 派遣元事業主は、労働者を派遣労働者として雇い入れようとするときは、あらかじ
め、当該労働者にその旨(紹介予定派遣に係る派遣労働者として雇い入れようとす
る場合にあつては、その旨を含む。)を明示しなければならない。
2.派遣元事業主は、その雇用する労働者であつて、派遣労働者として雇い入れた
労働者以外のものを新たに労働者派遣の対象としようとするときは、あらかじめ、
当該労働者にその旨(新たに紹介予定派遣の対象としようとする場合にあつては、
その旨を含む。)を明示し、その同意を得なければならない。
労働者派遣法第34条(就業条件等の明示)※派遣元
 派遣元事業主は、労働者派遣をしようとするときは、あらかじめ、当該労働者派遣
に係る派遣労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、次に掲げる事項を
明示しなければならない。
@当該労働者派遣をしようとする旨
A第26条第1項各号に掲げる事項その他厚生労働省令で定める事項であつて当
該派遣労働者に係るもの
B第40条の2第1項各号に掲げる業務以外の業務について労働者派遣をする場
合にあつては、当該派遣労働者が従事する業務について派遣先が同項の規定に
抵触することとなる最初の日
2.派遣元事業主は、派遣先から第40条の2第5項の規定による通知を受けたとき
は、遅滞なく、当該通知に係る業務に従事する派遣労働者に対し、厚生労働省令
で定めるところにより、当該業務について派遣先が同条第1項の規定に抵触するこ
ととなる最初の日を明示しなければならない。
※第26条は派遣元と派遣先の事業主間で締結される労働者派遣契約の内容(業
務内容や派遣先事業所所在地、指揮命令についてなど)について定めています。
※第40条の2は派遣先事業主が一定の業務を除き労働者派遣の役務の提供を
受ける期間を超える期間を継続して受けてはならない旨が規定されています。
<解説>
派遣元(人材派遣会社)と派遣労働者(派遣スタッフ)との労働者派遣契約の内容
は派遣法第26条に規定されており、その契約事項等、就業条件等について派遣労
働者へ明示する義務が派遣元にあります。また、当然に労働基準法第15条の労
働条件の明示についても適用も受けますので、重複する事項も含め派遣先での就
業条件について派遣元事業主は「労働条件通知書兼就業条件明示書」などの交付
を行う必要があります。派遣法第34条に違反する場合は30万円以下の罰金に処
せられる場合があります。なお、地域別(産業別)最低賃金の適用は派遣先地域で
の適用となる点にもご留意下さい。


労働条件なくして雇用関係は成立しません。適正な労働条件と
適正な明示方法は「労務管理」では最も必要とするところです。



労働条件とは何か、また、最低限明示しなければならない事項は
何か、会社は当然にそれを把握していなければなりません。賃金
や社会保険、労働保険も労働条件により成り立ち、人材を必要と
する企業は労働条件は事業活動運営の源です。労務管理はその
労働条件の事前通知(周知)と確認作業です。会社だからこそ、先
立って労働条件を知り、法的な通知方法を確認しましょう。



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