contents

(工事中)

メールはこちら


(業務インフォメーション)

人の動きとお金の動き

企業経営は資金を調達し設備投資を行い、製造、商品の販売、サービスの提供など
営業活動を行い売掛代金の回収、代金の支払や給与の支払、支払手形の決済、借入
金の返済といった一連のお金の流れがあります。その財務活動を行う上で、営業活動
(人の動き)が伴います。いわば、経営はこの両輪が常に回っている事になります。利
益を上げて行くには、売上を上げて行かなければなりませんし、売上を上げて行くには
人的労力が必要になります。(もっとも設備投資も必要となりましょう。)また、売上高が
上がっても、原価が上昇あるいは、販売商品の値引きやサービス単価の引き下げをす
れば、売上総利益は圧縮されてしまいますし、販売費や一般管理費がかかり過ぎると営
業利益は圧迫してしまいます。その他、売掛債権の回収が遅れれば、売上高が上がっ
ても未回収分の現金が無いといった状況にもなりましょう。また、企業経営は商品やサー
ビスの提供をし、社会的に貢献することで成長し自社はもちろん、より便利な生活環境を
もたらし、税金や社会保険料の納付など社会全体にも大きな利益をもたらします。生産
を上げて行くには社員教育や配置、社員自身のモチベーション及びノウハウが重要にな
りましょう。一方、生産には人件費といった投資・コストも伴い、個人の疲労やストレスも
蓄積されてきます。加齢も伴い、引退後や傷病、障害といった社会を取り巻く想定可能な
様々なリスクに対応できる状況でなければなりません。その為の社会整備として社会保
障があり、会社に関しては社会保険が社会全体の相互扶助制度として存在しています。
労務管理とはまさに会社の最も重要な財産とも言える「人」の管理であり、就業規則(従
業員に周知されるものでなければならない)を中心に雇用環境の維持・改善を図り、事業
活動を営むための環境の形成と維持・運営になります。





人的労力は、モチベーションや疲労、ストレス、人件費コストも伴う。
また、日常業務の中でアイデアやノウハウも蓄積され人事考課制
度や社員教育などの他、賃金、労働時間、休日などの取り決めなど
労働条件整備が労務管理上、必要となる。


労働条件を明確に
〜規則や通知書を交付〜

労働条件は明示されるものでなければなりません。勤務時間や就業場所、休憩、休日、
賃金の決定方法、締め切り、支払時期、退職などは基本的明示事項です。労働条件な
くして労使関係は成立しませんし、労働条件が明確であれば従業員もより安心して業務
に従事できることはもちろん会社の指揮命令も、より有効に機能することでしょう。また、
労働条件についての相談・質問などがあっても、就業規則などできちんと根拠を示せれ
ば、不要なトラブルの防止にもなります。労働条件の最低基準は労基法等の法令で定め
られています。全員が全員納得する規則というものが望ましいのが当然ですが、実際は
なかなか不可能と言ったところかもしれません。しかし、裏を返せばだからこそ共通認識
をもつにふさわしい規則が必要とも言えます。残業や休日出勤というのも事業の運営上
日常的に発生しますから36協定をきちんと締結しておくことも重要です。常時10人以上
の従業員規模の事業場は就業規則を作成し、従業員代表の意見を聴取し監督署へ届出
なければなりませんが、監督署へ届出ればそれで良しではなく、従業員に周知させること
が最も重要です。監督署へ提出することが就業規則の目的ではなく、社内規則として、
周知させることで機能します。就業規則は「生き物」です。


労働条件を変更する場合

現実は規則に定められても事業の運営において無理が出る場合もあるかもしれません。
社会経済情勢が不安定でその影響により、経営環境が厳しくなれば、その傾向はいっそう
現れやすくなります。有利な変更、軽易な変更(少なくとも、不利とはならない変更)であれ
ば、手続きもスムーズと言えるかもしれません。しかし、賃金や勤務時間などに関わる変更
の場合は、スムーズにはいかないでしょう。(退職金や賞与の減額など不利な変更であれば
従業員の個別の同意も必要になります。)労働組合が組織されている会社では労働条件は
労働組合との協約の締結がされその範囲内で話し合いが行われますが、たとえ、労働組合
が組織されていない会社でもなるべく従業員の意見を取り入れ、時間もかけて行う必要もあ
るかも知れません。労働条件は「労使対等決定の原則」があるからだけではなく、「労使一緒
に知恵を出し合う」姿勢が会社を発展させます。幹部会議を行い、骨子や方針をまとめ、説明
会の実施や面談を行い検討材料として改善提案書の配布・回収を行い、経営方針や現状に
照らし合わせ取り入れる(小規模事業場であれば、状況や必要性を確認し直接説明する)な
ど、状況に応じた一連の手続きが必要となりましょう。


賃金の側面
〜投資・コストとしての側面と労働条件としての側面〜

賃金は労働条件の中で最も重要なファクターといっても過言ではありません。労働の対償
として支払われる賃金は生活費そのものとなるからです。一方、賃金は人件費でもあり、
会社にとっては投資であり、コストでもあります。社会保険料や所得税などでは、「報酬」や
「給与所得」として取扱われます。このように、一口に「賃金」といってもその性格は様々な側
面が複雑に混在しています。そこに賃金の難しさがあります。また、その決定も時給など、
時間単価で行う方法や、職務内容や職務能力で各付けそれに従い決定する方法など様々
であり、インセンティブ効果によるモチベーション管理として昇給や賞与なども伴うでしょう。
この賃金を人件費(給与手当の他、役員報酬や賞与、法定福利費、賞与引当金等も含む)
として見ると従業員1名あたり売上総利益をどれくらい上げてるかを示す、労働生産性(売
上総利益÷従業員数)や人件費が売上総利益の何割を占めているかを示す労働分配率
(人件費÷売上総利益×100)から、過去の推移を捉えたり、同業他社との比較分析等を
行い適正値を判断することができましょう。また、人件費は固定費であり、労働分配率が上
昇しすぎると利益を圧迫し、結果、労働条件にも影響を及ぼすことになります。逆に、言うま
でもなく、むやみな賃金カットや減給を行うとトラブルの原因となるばかりでなく、モラールの
低下を誘発し、サービスや販売営業等、モチベーションダウンとなり、業績に影響を及ぼす
ことにもなりましょう。

<社会保険と賃金>
※各種社会保険も「給付基礎日額」「賃金日額」「標準報酬月額(日額)」として給付に反映さ
 れる仕組みとなります。
※助成金制度の中の「特定就職困難者雇用開発助成金」「中小企業雇用創出人材確保助
 成金」などは労働保険確定保険料の算定基礎となる賃金総額の従業員あたりの平均額が
 助成金額決定のベースとして計算される仕組みとなっています。



賃金は様々な側面があり、とらえ方も異なり、それが複雑に絡み合
ってる。企業財務では「付加価値対人件費」としてとらえ、労務管理
上では、「労働条件」としてのとらえ方となる。どちらのとらえ方も重
要。現状を把握し、経営方針、経営ビジョン、事業計画、要員、人事
制度などと照らし、この2本の柱を調整する。


賃金体系

賃金は様々な要素によって構成されており、それを体系化してとらえることができます。
<賃金体系の例>


通常、給与明細には、基本給+各種手当+各種社会保険控除+税控除額が記されて
おり、基本給に属人給○○円、仕事給○○円とか、年齢給○○円、職務給○○円など
細分化されて記されていない場合が多いでしょう。しかし、賃金配分には必ず何らかの
基準があり、それを体系化し例示すると、おおよそ、上記の体系となります。もちろん、
上記の体系は例示であり、その基準は会社によって様々ですから、基本給は属人給の
みあるいは仕事給のみ、若しくは属人給は勤続給のみとか、手当は無いなどもっとシン
プルな体系かも知れません。(あるいは、さらに要素を細分化できるかも知れません。)
また、勤続給○年目○○円とか年齢給○歳は○○円など、単価を必ずしも全て細かく
設定されているわけではない(各種手当などは、単価が設定できるものが多い。)ので、
まずは賃金体系を賃金決定の「要素」としてとらえて見てください。


各要素のウェイト

各要素の性格は異なる為、各要素の性格を整理した上でそれぞれのウェイトを確認し
ます。賃金決定はその体系のウェイトが重要となるからです。各要素の性格を簡単に
整理するとおおよそ以下のように言えます。

<属人給>
「年齢給」や「勤続給」といわれるように年功的性質を持った要素です。決定に公平性
や納得性が得られやすく、人事制度上でも特別な手続き(人事考課制度など)を特に
要さないなどのメリットが大きいと言えます。但し、昇給において、人員の高齢化現象
には弱く、また経営が厳しくなると生産と賃金のミスマッチが生じる場合があるなどの
デメリットもあります。

<仕事給>
「職務給」や「職能給」は職務内容や職務遂行能力を格付けそれに従い決定します。
その為、人事考課や職務分析などの手続きを要し、社員教育(OJT、off-JT)も重要
になります。成果・業績主義を検討する場合は別に、「目標管理制度」などを要します。
戦略的な人事制度の構築が期待できるメリットがある反面、手続きを要し、考課内容
に透明性や妥当性を持たせる必要があります。また、曖昧で抽象的な制度になると、
形骸化してしましいます。考課者の客観性や妥当性、経営目標などが重要と言えまし
ょう。

<業績給>
「歩合給」或いは「コミッション給」などが該当します。営業成績や契約件数などに応じ
て基本給に付加する場合に用いられる要素です。

<勤務給・生活補助給>
通勤手当など実費弁償的なもの、役職手当など責任・貢献的対価、皆勤手当など報
償的なものなど、基本給に切り離して取り入れられます。
※精皆勤手当、通勤手当、家族手当は最低賃金の対象となりません。
※家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃
 金、1ヶ月を超える期間ごとに支払われた賃金は割増賃金の計算基礎に算入しなく
 てもよいことになっています。



事業活動において、賃金は重要な労働条件の1つであり、賃金設計、
人事制度設計の他、勤務シフトや労働時間、休日、休暇、社会保険な
ど労働条件整備・維持・改善などが重要となります。


労使関係TOP







HOME

======================================================================================