ハーブを育てたいと思って、始めた畑。 一人でやるには自信がなく、 妹といっしょにやりはじめました。 2011年3月11日、東日本大震災。 そして、福島第一原発事故、放射能……。 どうしていいかわからないので このページ更新を無期延期にします。 |
●畑ノート5〜6月 植物を信じたい (2011.6.3)
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カモミールは今年もたくさん咲いて、畑は甘い香りに包まれました。けれど、遅い春と早い梅雨、また梅雨直前の夏日、そんな気候の中で花はすぐに終わってしまいました。だから、花摘みに費やす時間はずいぶんと少なく、今は枯れたカモミールを刈り込んでいます。 梅雨の薄曇りの中、ローズマリーやオレガノが独特の香りを放っています。カモミールに代わって、ヤローが咲き始め、白や薄いピンクの花がとても可憐です。(写真は不出来ですが)また、ようやく畑になじんでくれたラベンダーが、紫色の花穂をつけました。 写真(下)手前の紫の花は、ヤナギハナガサ(柳花笠/別名・三尺バーベナ)という南アメリカ原産の帰化植物。左側は菊とキキョウの苗。上方のピンクと青の花は千鳥草。ここに目隠しになる木があって、テーブルと椅子があったら、たぶんステキだろうなと思ったりもします。 ハーブなどを作り始めて6年目。今、振り返ってみると、最初はとても新鮮な気持ちでした。生き生きとして育てていました。けれど、いつしかこの畑ノートも間遠になってしまって……。 住宅地の畑は意外な“被害”にさらされます。冬場は住宅の日陰になり、野菜が育ちません。また、畑があること自体、一部の人から快く思われていないのでしょう。ゴミや犬のフンの投げ入れ、畑へのいたずらなどの被害には困り果てました。挨拶をしていた通行人が、ある日突然プイと顔をそむけるやら……予想外のことばかり。こうしてお話しすると小さな事柄なんですが、その時はたいそう厭な気分を味わい、苦痛に感じました。 おまけに“狭い畑”は農地としては認められず、「市街化農地」として宅地よりも重い税金がかかっているのでした。(三大首都圏では) そんなこんなで気分が重くなっていました。 「気分一新、趣味に徹して呑気にやっていこう!」そう思っていた矢先、東日本大震災がありました。私たちを恐怖のどん底に突き落としたのが、福島第一原発の事故でした。福島や関東各地の農産物が放射性物質に汚染されたというニュースには、背筋が凍る思いがしました。ここ東京・多摩地区は暫定基準値以下だったようですが、確実に放射性物質は地面に降り注いだことは間違いありません。私自身、この時期は畑での作業時間が長く、土ぼこりとともに放射性物質を吸いこんでしまったことでしょう。 コンクリートの道路などでは、放射性物質は水と一緒に流れていき、次第に線量は低くなっていくらしいですね。(流れる先は、川→海となるのでしょうか)ある学者のブログによると、床を拭き掃除し、玄関先や道路などはデッキブラシでこすって流すと、効果があがると書いてありました。それから、いろいろなブログやコメント欄などを読むと、「関東周辺の農産物は危ない」、「関西や九州のものを買おう」という意見が多いことにも驚き、頭をがーんと激しく叩かれたような衝撃を受けました。土に直接関わっていない人の自由さが、うらやましくも、うらめしくもありました。 畑の土はどうしたらいいのでしょうか? 入れ替えることもできません。 福島や近県の農家はどんな気持かと思うとたまらなくなります。福島で有機農業に励んでいた方が自殺されたニュースには、本当に悲しくなりました。安全・安心な美味しい野菜を作ってきたというのに、原発のためにすべてを失ってしまったなんて! 福島で「ひまわりプロジェクト」が始まっています。ヒマワリはセシウム137やストロンチウム30を吸い上げて、土壌を浄化する力があるそうです。その他、菜の花やルピナスなども有効らしい。これらは、25年前のチェルノブイリ原発事故のあと、わかったことのようです。たぶん、多くの植物に放射性物質を吸い上げる力があることでしょう。ただ、それらを植えれば一気に放射性物質がなくなるわけではなく、やはり本当に浄化するには長い時間を要するということ。それから、放射性物質を吸い上げてくれた植物の残骸が問題になります。これをきちんと処理しなければならないわけです。(処理方法をどうするか) 私もヒマワリの種を蒔きました。また、アブラナ、小松菜、水菜、ノラボウの種を今採取しています。それを秋に蒔こうと考えています。その後、どうしたらいいのか、わからないのですが。 何かにすがりつきたい気持です。植物には科学を超えた力があると信じたい。今、薄荷(ハッカ)がいっぱい芽を吹き出しました。その清々しい香りをかいでいると「植物には希望がある」と思えてきます。 わからないまま、しばらく、畑でハーブや花や少しの野菜を育てていくつもりです。 そして、私自身も他の人々も、人間の都合ばかりでものを言っているような気がして、今はこの「farm」に「畑ノート」を書くことができそうにありません。気がついたら、このページがなくなっているかもしれませんが、ご容赦ください。どうか放射能の被害が、人間にも、動物にも、植物にも、ありませんようにと祈ります。放射性物質がなくなる日がいつくるのか、その日を願ってやみません。 このページを読んでくださった皆さまに、心より感謝いたします。(日記をがんばるつもり…m(__)m) |
●畑ノート5月 甘い香りに包まれて (2010.5.18)
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5月、まぶしい陽光にあふれた畑。 ハーブたちは元気に育ち、ジャーマンカモミールは畑一面に白い花を咲かせています。その向こうではチャイブが群生して、その薄紫色とカモミールの白のコントラストが美しいです。 たまにお客さまが訪れ、「うーん、甘い香り」と深い呼吸をされます。そういう時、改めてこのハーブ畑が良い香りに包まれていることを感じます。毎日畑に行って花を摘み、枝の整理をしているというのに、日頃は忙しくて香りさえ楽しめていないんですね……。 ご近所の方が、「朝夕は甘い香りが漂ってくるのよ」と。そんな向こうまで届くほどの香り、さすが大地のリンゴと言われるだけはあるなあと感心します。(この香りがきらいな人がいたら、大変なことですが) 畑に立って見渡すと、本当にすごい。一面、カモミール! その間にあるものもほとんどがハーブ。少し種を蒔いた野菜は、ハーブの影でひっそり。そして、私と妹はためいきをつくのです。 花は摘みきれません。カモミールのためだけに4〜5月は終わります。 果たして、これは仕事なのか。毎日疲れて、とうとう肉体的限界にきたのか、腕や肩には痛みが走り、手や指の関節は何やら熱を持ち腫れてきたみたい。そして、この労働がほとんど報酬をもたらさないということ、それはやはり空しいことです。「趣味を越えてしまったね」と二人で話しています。 最初、カモミールの花は珍しがられもしましたが、もはやここまで増えると、通行人からも「雑草?簡単に育つのね」という言葉も出てきてしまう昨今。 けっこう花を咲かすまでには苦労があるんだけどなぁ。ドライカモミールを作るのは大変なんだけどなぁ。そんなぼやきすら出てしまいます。 「来年は縮小しよう」「少しでもいいから労働が報われる方策を考えよう」と、花摘みをしながら考える2010年度のカモミール畑。花を愛で、香りを楽しみ、自分も満足し、皆さんからも喜んでもらえるようなハーブガーデン作りが理想。できるかなー? |
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●ワイルドストロベリー ピンクのかわいい花がカモミールの下からのぞいています。もっと大事にしてあげなければねと反省。 |
●イタリアンパセリ 昨年のこぼれ種から育ったパセリは丈夫で大きくなりました。そして今、逞しく花を咲かそうとしているところ。 |
●あやめ 道路沿いに大きな株があって、たくさん咲いています。5月の爽やかな空気に、とてもよく似合う花ですね。 |
●ルッコラ 4月に種蒔きをしたら、もう青々してきました。畑のルッコラは生き生き、はつらつ。家で鉢に種蒔きしたものとは大違い。 |
●コモンセージ たくさんあったセージも少なくなり、残った2〜3株から花が咲きました。この花から種を採取して、また増やしたいものです。 |
●ヤロー(西洋ノコギリソウ) 野生的な白花のヤローです。びっしりと根をはって増え続けています。今年は減らしていかなければ……。 |