セクシャル・ハラスメントは「とらえ方」や「解釈」にいまいち統一性
が見え辛く、また理解にも個人差があるように思えます。例えば、
「勝手に短いスカートをはいておきながら、ジーと見られることでセ
クハラとされてはかなわない」とか「『おはよう!』と気前良く女性社
員の肩を触ったことでセクハラ呼ばわりは、逆に職場がギクシャク
する。」あるいは「あくまでファッションではいているスカートがたま
たま短いだけなのに、何かジロジロ見るあの上司は気持ち悪い」
や「挨拶するのになれなれしく、肩を触るあの部長は何とも不愉
快」などのとらえ方は、それによって著しく不利益を被る場合を除
き法整備云々による部分よりかは、その者(男性及び女性を問わ
ず)のデリカシーやモラルの部分が大きいように思えます。
また、ジェンダーとしてのセクシャル・ハラスメント(男性中心社会
から真の男女均等社会の実現の為の異議申し立て)を主とした
捉え方もあります。これは、性による差で例えば、「女性社員は
お茶くみコピー取り」「男性社員の方が早く昇進する」などの男性
中心社会に是正を求める捉え方です。既に男女雇用機会均等法
等では採用・昇進・退職などは女性であることを理由に男女で差
をつけることを禁止しています。
一方、男女雇用機会均等法をはじめとする法的な捉え方として
は、「セクシャル・ハラスメント」について労務管理の一つとして考
える必要があります。即ち、女性(あるいは男性)の働きづらい職
場環境をもたらすことや、それにより不利益を与えることなどです。
こうなりますと、もはやモラルやデリカシー云々ではなく、法的な
捉え方が重要になって行くでしょう。
また、始めは冗談のつもりであったことがエスカレートすることに
より事件に発展するケースが多く、業務上どの職場でも起こり得
る普遍的な問題としての意識が求められます。 |