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Q
セクシャル・ハラスメントとは一体どういう事を指すのですか?
A
セクシャル・ハラスメントは「とらえ方」や「解釈」にいまいち統一性
が見え辛く、また理解にも個人差があるように思えます。例えば、
「勝手に短いスカートをはいておきながら、ジーと見られることでセ
クハラとされてはかなわない」とか「『おはよう!』と気前良く女性社
員の肩を触ったことでセクハラ呼ばわりは、逆に職場がギクシャク
する。」あるいは「あくまでファッションではいているスカートがたま
たま短いだけなのに、何かジロジロ見るあの上司は気持ち悪い」
や「挨拶するのになれなれしく、肩を触るあの部長は何とも不愉
快」などのとらえ方は、それによって著しく不利益を被る場合を除
き法整備云々による部分よりかは、その者(男性及び女性を問わ
ず)のデリカシーやモラルの部分が大きいように思えます。
また、ジェンダーとしてのセクシャル・ハラスメント(男性中心社会
から真の男女均等社会の実現の為の異議申し立て)を主とした
捉え方もあります。これは、性による差で例えば、「女性社員は
お茶くみコピー取り」「男性社員の方が早く昇進する」などの男性
中心社会に是正を求める捉え方です。既に男女雇用機会均等法
等では採用・昇進・退職などは女性であることを理由に男女で差
をつけることを禁止しています。
一方、男女雇用機会均等法をはじめとする法的な捉え方として
は、「セクシャル・ハラスメント」について労務管理の一つとして考
える必要があります。即ち、女性(あるいは男性)の働きづらい職
場環境をもたらすことや、それにより不利益を与えることなどです。
こうなりますと、もはやモラルやデリカシー云々ではなく、法的な
捉え方が重要になって行くでしょう。
また、始めは冗談のつもりであったことがエスカレートすることに
より事件に発展するケースが多く、業務上どの職場でも起こり得
る普遍的な問題としての意識が求められます。   

Q
勿論、セクシャル・ハラスメントは不当な行為だと思うのですが、ど
ちらかと言えば、企業で防止策を考えることではなく、個人個人で
注意してもらうことだと思うのですが?
A
セクハラ行為は、企業でも注意しなければならないとわかっていて
も、それは実に陰湿に行なわれているケースが多く注意するにも

注意の仕様がない。あるいは、もともとセクシャル・ハラスメントなど

ないのに注意を促すことで逆に職場の人間関係がギクシャクする。

と思われる方も多いかもしれません。しかし、セクハラによる被害は

当然、損害賠償の対象になり、企業にとっても民法第715条の使用
者責任を問われることにもなりかねません。また、セクハラにより風

紀が乱れ職場環境が悪化することは企業にとっても大損失です。

実際、多くのセクハラ事件は起こって初めて事の重大さに気づいた

り、被害者側と加害者側の意識が全く異なるといったケースが多く、
内容も多様なだけに企業としてのセクハラ対策も困難な面も確かに

あると思います。
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企業のセクハラ対策としては、就業規則の服務規律の中にセクシャ
ル・ハラスメントに関する方針等を盛り込むなどして周知徹底させるこ
とや、苦情や相談などを広く受け入れる体制づくり(苦情処理機関の
設置等)が重要になってきます。また、従業員に対してセクシャル・ハ
ラスメントに関する意識や考えについてアンケート調査等を行なうな
ど、予め従業員の意識等を伺っておくことも重要だと思われます。

<参考>
平成10年労働省告示第20号・第21号

Q
セクハラの形態として「対価型セクハラ」と「環境型セクハラ」があると
言われているそうですが、それぞれの形態はどのようなものですか?
A
セクシャル・ハラスメントの形態としては様々な形態があると思われま
すが、主に「対価型」と「環境型」に集約されるといわれています。
まず、「対価型」については、昇進や昇格など雇用関係上有利な取り
扱いに対して性的関係を要求したり、交際に応じなかったことで待遇
を不利に扱ったりするケースであり、経営者や部長など人事権のある
者が加害者である場合が多く、被害者は男性社員であるケースも珍
しくないと言われています。また、「対価型」のパターンとしては「代償
型」(交際を断ったことの代償として、解雇や減給を迫る)と「地位利
用型」(昇進や給与の増額、ポストの確約などを条件に労働者の意に
反する性的な言動が地位を利用して行なわれるケース)に分けること
ができます。次に「環境型」ですが、性的な言動等により、被害者とな
る労働者にとって不快な環境を与え、職務遂行能力に支障をきたすよ
うな場合です。例えば、女性社員の胸やお尻を触ることや、社内で性
的不快を与えるような事(下着の色や性的な経験についてなど)を聞く
などが著しく、就業上職務を十分に発揮するには大きな支障を来たす
場合などです。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
<参考>
日本フォークシェルフ損害賠償請求事件:東京地裁判決
(平9.2.28)

郡山工場解雇取消事件:福島地裁判決(平2.4.20)
福岡セクハラ事件:福岡地裁(平4.4.16)
米国三菱事件(MMMA事件):米(EEOC)(’96)

Q
最近、日本は成人のモラルの低下が著しいと言われているが、そもそ
も「セクハラ」という表現が非常に軽く思われているのではないか?
A
セクハラ行為は、民事上の不法行為や使用者責任が問われるのみ
ならず、程度が著しい場合は強制わいせつ罪や暴行罪、脅迫罪など
刑法上の犯罪が成立することも十分にあり得ます。
「セクシャル・ハラスメント」は「いじめ」と同様、どこからどこまでが犯罪
行為、あるいは不法行為であるのか線引が不可能であるがゆえに、
とらえかたや理解度も様々であるといえます。しかし、根源にあるのは
「他人に性的不快な言動を行なうことで、苦痛を与える」ことであり、特
に職場においてそれを行なうことは極めて悪質といえます。冗談と不法
行為が見極められないことは、確かにモラルの低下と言えるでしょう。

Q
我が社にセクハラはないと思っていたのだが、先日、ある女性社員か
ら「K部長がセクハラが著しいので私、退職致します」と辞表を渡され
た。話によると、被害を訴えている者も複数おり、女性社員の間では
かなり話題になっていると言う。私としては素直に受取れず、K部長に
事情を話したのだが、本人は一切そんなことはしていないと言う。どう
すればよいのだろうか?
A
事件の状況はどの程度なのかを判断することは困難ですが、もう一度
話し合ってみる必要があるでしょう。その場合、辞表を提出した女性社
員の他に、もう一名女性社員に同席してもらうなどの配慮に心掛ける
必要があります。もし、セクハラ行為が事実であれば、始末書の提出
は勿論、事態が悪質と思われる場合は懲戒処分も視野に入れなけれ
ばなりません。仮に、事実無根であればその女性社員は退職して頂
ければよいでしょう。いずれにしましても、セクハラ行為は著しく社内
の風紀を乱しますから、一般社員は勿論のこと、部長などの管理職や
役員などともセクハラについて十分考えて行く必要があります。





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