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現在に伝わる文化

道志村に今も残る文化をお伝えします。
道志村の無形文化財に指定されているものもあります。
少しずつ掲載してゆきますので、気長におつきあいください。


おきゅうだい[無形民俗文化財]

かつては村舞の締めに宿の座敷で演じたというコミカルな演劇で神地地域に伝わる。
江戸時代の中期宝暦の昔、静岡県の三島大社の流れをくむお神楽の獅子舞に付随して神地地区に伝わった。
戦前は毎年行われていたが、戦時中には若者が兵隊にとられたこともあり中断。戦後も普段の生活を取り戻すのに追われ上演が途絶えがちになったが、神地からおきゅうだいを無くすわけにはゆかないと、故山口大八氏が中心となり昭和61年復活。それ以後若い世代に引き継がれ、現在は神地に定着している。
おきゅうだいは、オカメ・鬼・鍾馗・おきゅうだいが登場し、歌や台詞は囃子方が行う。
おきゅうだいは膏薬を売り、按摩の仕事をしながら旅をする身障者で、社会的な弱者が強者である鬼を退治する様子を演じている。

登場人物
おかめ・・・・・日本人女性の美の象徴。優しく可愛らしく美しい。
鬼・・・・・・・社会における悪の象徴。
鍾馗大臣・・・・正義の味方。現代にたとえれば仮面ライダー(少し古い?)
おきゅうだい
(ひょっとこ)・この物語の主人公。社会で一番弱い人間を表現している。目が見えず背ムシでびっこをひいて
        いる、膏薬を肩に貼り按摩をしながら旅をしている。

あらすじ
おかめが氏神様のお社にご祈祷の舞を舞い、宝物を奉納すると、それを見ていた鬼がおかめからその宝物を奪って逃げる。 そこへ通りかかった正義の味方鍾馗大臣がこれを見つけ、鬼を懲らしめて宝物を取り返します。
鍾馗大臣に懲らしめられた鬼が気絶して道に倒れていると、そこへ通りかかったおきゅうだいが鬼に躓いて転んでしまった。 それで目が覚めた鬼はそこにいたおきゅうだいに肩をもませたり、いやがるのを無理矢理相撲をとって投げ飛ばしたりして、 いじめて喜んでいました。耐えきれなくなったおきゅうだいは、袋に入れてあった食料の豆を鬼に投げつけます。
鬼は苦手な豆を投げつけられて逃げ出します。そして安心したおきゅうだいはまた旅につきます。

お き ゆ だ い
前奏 シャギリ 幕開く
へおかめのご祈祷く 笛・太鼓・唄 おかめのおどり
おかめナ何する納戸の蔭でハア 可愛い男の帯をくける。
帯にや短かし襷にや長し。五月田植の笠のひも。
おかめナどこへ行く三升樽さけてナ♪可愛男の酒買いに♪
酒のナ香りに心も浮いて。ほろ酔い気分の千鳥足。
笛・太鼓止む
おかめのおどり終り、玉を捧げて舞台の中央
へ今日は氏神様のご祭例 氏神様に進んぜます
笛・太鼓 ばかばやし
鬼の出場 おかめから玉を奪い逃げる おかめ退場
ばかばやし止む
太鼓 ドドドドド
ヘオヒューデンく おかめと入れ替りに鐘馗大臣出場
鬼と鐘馗舞台半廻 二人向き合って構える
オヒューデンく止む
ヘヤッコリヤー
笛・太鼓 トッバーヒャイトロ………
鬼と鐘馗の立ち廻り 鬼が倒れる トッパーの笛止む
鐘眉が玉をかざすO笛・太鼓 オヒューデンく
鐘馗退場 笛止む
ヘアアおきゆだいのこうやくは………
笛・太鼓 おきゆだい出場
おきゆだいのこうやくは もんでも貼っても十六文だ
おきゆだいと言う入は これでも昔は色男
おきゆだいも若い頃 女を泣かせた事もある

おきゆだいに惚れた娘も 今ではしわくたばあさんだ
おきゆだいは福の神 地の宝だ氏神だ
おきゆだいが投げられ 袋から大豆をつかみ出す
笛・太鼓止む
へ鬼は外くくく 鬼は逃げ廻り退場
おきゆだいは荷物をまとめる
笛・太鼓 へおきゆだいのこうやくわ………
へおきゆだいもおしまいだ それでは皆様さようなら
退 場 幕

神地地区にはこの他に、次のような神楽舞が受け継がれている。

古風は[下がり端][幣の舞][剣の舞][狂いの舞]の4つの舞の総称。
[下がり端]二人舞。幕を高く掲げて広げ、幕の中で広げた両手を斜めに振ってから、手に幕を巻き付けて前方に突き出す。
[幣の舞]一人舞。幣束1本を主に右手に持って振り、右方に担いで左手を伸ばし足を踏み換えて舞う。
この舞は「三島に鹿島に諏訪、戸隠、玉津島。住吉様は笛の役、しらひげ鼓、締めて打つ、うすめの命はまいこの役、鈴振り上げては神歌を歌うたあり。 みな三尺の剣を抜いては悪魔を払う。そこらです。」という神歌を歌う。
[剣の舞]一人舞。着物の裾をからげ、両手に持った2本の剣を振り回しながら、4隅を駆けまわる。
[狂いの舞]二人舞。獅子頭を上下左右に小刻みに激しく振る。