個別労働紛争の激増に伴い、設けられた制度。平成19年4月より施行された「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律」(いわゆるADR法)でより充実されました。「裁判によらないで民事上の労働紛争を解決しようとする紛争の当事者のため、公正な第三者が関与して、その解決をはかる制度」と定義することができます。具体的には都道府県の紛争調整委員会(弁護士、大学教授等中立公正な第三者、労働問題の専門家で構成)や道府県労働委員会(今のところ、東京都の労働委員会では個別労働紛争のあっせん業務を行っていない)に申し立て、そこで問題の解決が話し合われます。相手方の同意があれば、その場で紛争の解決が図れます。求めればあっせん案も提示され、両者の同意があれば民法上の和解契約となります。要は、行政によって作られた第三者(紛争調整委員会)が中に入って、あくまでも話し合いを通じて、労働組合が介在しない個別労使紛争を解決しようとするものです。
平成20年度のあっせん申請受理件数は、前年比18.3%増の8,457件となっています。
従業員を解雇や雇用契約を打ち切ったことなどにより、紛争調整委員会から『あっせん開始通知書』が送付されてきた場合、冷静な対応が必要です。御社の従業員、あるいは元従業員が、都道府県の紛争調整委員会にあっせん申請をしたということは、紛争をあっせん(話し合い)で解決しよう、場合によっては譲歩してもよいという意思を有していると、察せられるからです。
あっせんを受けるかどうかは自由ですが、せっかく話し合いの場がありながら、それを拒否することは、紛争が司法の場に移ることになりかねません。あるいは、労働組合(ユニオン)が介入してくるかもしれないのです。
受けるべきか、断るべきか、相手の主張を確認した上で、慎重に検討すべきです。が、紛争が拡大しないうちに収めるためには、受けたほうがよいでしょう。
あっせんが、第三者を介した話し合いによる解決といっても、その解決基準は法律や労働判例であり、労働法関係の専門知識がないと、事業主側が不利になる可能性があります。
法律や労働判例により紛争の客観的な評価を行い、事業主にとって最善の紛争解決を行うのが私の役割と考えております。『あっせん開始通知書』が送付されてきたり、ユニオン等の労働組合より団体交渉を要求されていることでお困りのときは、ぜひご連絡ください。
- あっせんでの金銭解決相場は、裁判や労働審判に比べると、かなり低いといわれております。
- 紛争が長期化、泥沼化するのを未然に防止できます。
- 弁護士費用など多額の費用、時間がかかる裁判に比べるならば、手続きが簡単にすみます。(原則として、あっせんは1日で終了します。)
- あっせんを受けるには、費用がかかりません。
- あっせん委員には、労働問題に詳しい弁護士や大学教授等が任命されているので、法律や労働判例に沿った、客観的合理的な解決が図られます。
- 紛争当事者同士で、あっせん案に合意した場合は、そのあっせん内容は民法の和解契約の効力を有します。
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