(出発以前)



「何で自転車で北海道なの?」といろいろな人から聞かれました。実は今でもこれに対してきちんとした答えを持っていません。この質問は恐らく「いい歳をして何を好んでそんな苦しいことをするのか」という意味が含まれているのでしょうが、「前からやりたかったんです。」と答えにもならない答えをしています。動機とはそこに至るまでの心理的過程なのでしょうが、実にいろいろな要素を含んでいて、本人にもよく判っていない事が多いのではないでしょうか。しかし事実としては、去年の5月には漠たる思いからテントをネットで3000円で手に入れ、8月には自転車を購入していました。
はっきり言えるのは「なぜこの時期に」という事です。「北海道に行くなら6月に」というのは以前から考えていました。この時期関東地方は梅雨時で鬱陶しい日々が続きます。そこから逃れるという意味もあり、かと言って7月〜8月ともなるといくら北海道でも暑くなるし、学生は休みに入り騒々しくなるだろうと予想されるからです。とは言っても9月〜10月では、ややもするとひどく冷える日があると聞きます。ですから6月です。
「なぜ今年の6月に」という事もはっきり言えます。昨年4月以来いわゆる「失業・求職状態」で中途半端な心理状態だったところ、忘れもしません、今年の4月の28日、ある企業からの不採用通知を受け取った瞬間にひらめいたのです。「これは天啓だ。神様が今年の6月に北海道に行けと言っているのだ。」と。
そして、2日(土)には大学のクラス会があるので、週明けの4日(月)が出発日に決まりました。また、7月には家人が1ケ月ほど家を空けることがわかっていましたので、6月中には戻る事にしたわけです。
(直前1ケ月の行動・決めた事)
自転車購入直後から何となく1日10q〜20qは走ろうという意識はもっていてそこそこ実践できていました。去年の12月13日には走行距離が1000qになり、4月28日には1740qになっていました。
5月に入ってからは、姪と多摩川源流への日帰り102q走行、久里浜からフェリーで房総半島へ渡ってのキャンプ1泊2泊ツアーなどを実施し、テント生活にはマットが必要な事を実感し急遽購入したりもしました。直前になって前輪・後輪の取り外しとパンク修理練習に半日を費やしたりもしました。
暇があればネット上の自転車旅行記を読んでいました。こんな情報収集ができるのは本当にありがたい事です。いろいろなルートを疑似体験でき「これならいけるかな」とか、読んでいるだけで息が上がってくるようで「とてもこれは無理だな」などと思ったものです。
もう一点問題点がありました。「どのように北海道に渡るか」という問題です。慣れた人は「輪行」といって両車輪、ペダル等をフレームから外し袋にいれて交通機関(飛行機・列車等)を利用する方法をとります。慣れればそれ程時間がかからないといわれますが、解説書を読んだ限りでは結構大変そうですし荷物がそれに加わるのでとても無理だと思い断念しました。とするとフェリーという事になりますが、4月までは運航していた有明→苫小牧便が廃止になり、大洗発だけになってしまいました。何とか京浜地区から北海道に行く貨物定期船に乗せて貰えないかと何社か打診してみましたが全く話になりませんでした。それでもまだ未練たらしく、誰か車で自転車ごと大洗まで運んでくれないかななどと考えたりもしましたが、そんな事でどうすると自分を叱りつけ、単純に自宅からこいで行くというところに落ち着きました。しかしまだ問題が残ります。
横浜、大洗間が160qあることです。今までそのような距離を1日で走った事はありません。いろいろ読んだところによると、1日サイクリングとしては普通の距離のようですが最初からそんなに無理をする事もあるまいと思い、途中1泊する事に決め、概ね中間にある牛久に宿泊することにしました。
ここまでの自分の経験や本・ネットから得た情報を基に、次のような行動原則が出来上がりました。
以上を基にして、次のような机上プランを作りましたが、あくまでも「一応の目安」ということです。これは家にも残してきました。
| 日次 | コース | 距離(q) |
|---|---|---|
| 4 | 自宅→牛久 | 80 |
| 5 | 牛久→大洗 | 80 |
| 6 | (船中)苫小牧市内 | 10 |
| 7 | 苫小牧→鵡川→厚賀→新冠(キャンプ) | 70 |
| 8 | 新冠→浦河→えりも本町 | 80 |
| 9 | えりも本町→襟裳岬→広尾 | 63 |
| 10 | 広尾→浦幌(キャンプ) | 65 |
| 11 | 浦幌→白糠→釧路 | 74 |
| 12 | 釧路→塘路元村キャンプ場(キャンプ) | 25 |
| 13 | 塘路元村キャンプ場→釧路→厚岸→霧多布岬(キャンプ) | 112 |
| 14 | 霧多布岬→厚床→標津 | 91 |
| 15 | 標津→斜里→小清水→網走 | 101 |
| 16 | 網走→女満別→美幌→津別(キャンプ) | 50 |
| 17 | 津別→足寄峠→オンネトー(キャンプ) | 39 |
| 18 | オンネトー→足寄→士幌 | 79 |
| 19 | 士幌→鹿追→清水→御影 | 50 |
| 20 | 御影→清水→新得→狩勝峠→トマム→占冠 | 87 |
| 21 | 占冠→ニニウ(キャンプ) | 10 |
| 22 | ニニウ→占冠→日高→平取→苫小牧 | 116 |
| 23 | 苫小牧市内(船中) | 10 |
| 24 | 大洗→石岡 | 60 |
| 25 | 石岡→横浜 | 100 |
(これで遅くも30日までの帰宅を考えると最大5日間の余裕があることになります)
今回のツアーは、例えば名所を訪ねるとか、無人駅を見に行くとかいうような「これ」といった目的は無いのでどんなコースでも良く、ただ、正味15日〜20日で苫小牧に戻って来るということが制約としてあるだけです。従って上記コースにした深い意味はありません。苫小牧が北海道の中で比較的に西にあるので東に向けて走る事になったというだけの事です。
旅行資金は最大40万円を用意しました。いわゆる貧乏旅行をする積りは毛頭ありませんのでかなり余裕をもって考えました。このうち出発時には10万円を現金で持ち、30万円をわざわざ郵便預金にしカードをつくりました。この処置は郵便局ならかなりの田舎でもATMがあるので北海道ではこれが一番、というサイトからの情報です。
(直前の携帯物準備)
| 収納部分 | 中身の品 |
| ウェストチポーチ | 財布、小銭入れ、ティッシュ、ハンカチ、携帯電話、ノート(裏表紙に保険証コピー、デジカメ、郵便局カード |
| サドルバッグ | 反射テープ付き安全ベスト、夜間用自転車ライト(大・小)、スペアのタイヤチューブ、軍手、防水ケース入り乾電池(単3×4、単4×4)、予備のナンバーキーロック |
| 後荷台上プラケース | 1gポリタン、0.6gケットル、固形燃料(1缶半)、小固形燃料(18ケ)、インスタントコーヒー、 ティーバッグ、砂糖、コップ、スプーン、予備煙草2箱 |
| 後左右サイドバッグ | (衣類)…半袖速乾シャツ2、速乾Tシャツ2、長袖ジャージ2、ズボン(長・短・水着)、パンツ2、ゴムぞうり (衛生用品)… 歯ブラシ、歯磨き、髭剃り、石鹸、常備薬各種、虫除け塗り薬、エアサロンパス (工具等)… 修理道具セット、ミニツール、小型ラジオ、携帯プレーヤー、グランドシート、 洗濯ひも、洗濯ばさみ、ショックコード、ビニール&ポリ袋、ダウンロードした各種資料、ティッシュ4パック |
フロントバッグ |
雨具上下、予備老眼鏡、筆入れ(印鑑、ルーペ、ディバイダー、予備キー、エアポンプ用アタッチメント、筆記用具数種)、ツーリングマップル、クリアケース内地図、ミニ三脚,,タオル2枚、マグライト、文庫本 |
| 前後荷台に括り付け | テント、エアマット、寝袋 |
(荷物全体をまとめたところ、これに携帯飲み物等が加わっても20s程度に収まった。こう見てみると本格的なサイクリング用品が殆どない事に気が付く。肝心のバッグですら2つで1500円のバーゲン品で、自転車自体もアクセサリーこそ幾つか追加したものの、本体は全くオリジナル。パーツも含めて耐久試験になりそうだ。)
(実際の積み下ろしも10分以内にできるように繰り返し練習した。)
| 6月4日 |
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